【殻ごと挽きぐるみにした玄挽きそばを十割そばでいただくこと】を目標に、これまで自作の押し出し器の改良に励んできました。
今回、最終形の押し出し器を利用して簡単に玄挽き十割そばを製麺できるようになりましたので、この喜びを記録に残したいと思います♪
※当記事はYouTubeに動画も公開しています。
最終形の押し出し器
伸ばして切らなくても、素人でも十割そばができるように、ダイソーのベーキングガンを利用して、押し出してそばを製麺する押し出し器を自作しました。
※注意1:この押し出し器の自作は簡単ではないかもしれません(笑)
※ベーキングガンを利用した押し出し器の改良については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
※注意2:【最終進化系】の玄挽き十割そば押し出し器は、【塩ビパイプDIY】で達成しており、こちらの記事で紹介しています。
今回の記事では、押し出し器を利用して【やぶ粉(藪粉)】は製麺できて、【韃靼そば粉】は製麺できないという結果に終わっています。
今回は念願の、
【殻ごと挽きぐるみにした玄挽きそばを十割そばでいただく】
に成功しましたので、記事にさせていただきました!
用意した玄挽きそば粉
押し出し器の最終形が完成したときから、狙っていたこちらのそば粉を利用しました。
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<かめ注目ポイント>
- そばの殻を含んだ玄挽き
- 風味が豊かな石臼挽き・30メッシュ粗挽き
- 国産(北海道産)
- 1kgで1690円(税込み。楽天ポイント値引きを含まない。3袋以上購入で送料無料。)
北海道産の十割そばの乾麺をスーパーで普通に購入しますと、200gパックで500円ほどしますので、【玄挽き】のそば粉がこの価格で購入できるのは、激アツですよね!!
また、当サイトでは炭水化物系の健康食材として、
- ブラン(小麦ふすま)
- レッドキドニー
- プンパーニッケル(ライ麦)
- アマランサス
- 韃靼そば
を紹介しておりますが、【玄挽きそば粉】の優位性として以下の点が挙げられます。
<玄挽きそば粉の優位性>
- 単独でいただいた場合、かめ(当記事の著者)的には一番旨い!!
- そばの殻に含まれる栄養成分がかなり期待できる。
- 国産の食材で食料自給率の向上に貢献できる。そばの殻の廃棄量も減少する。
かめとしては、今回紹介する押し出しによる十割そば製麺方法が一般家庭に普及することで、そば農家さんが潤うと同時に、そば殻の廃棄物が削減されることを期待します!
※各健康食材はこちらの記事で紹介しています。
押し出し製麺開始
1.玄挽きそば粉と水を用意します。
玄挽きそば粉100gに対して、約55gほどの水を加えます。(加水率55%程)※写真の数値は異なります。
玄挽きそば粉は、前回試したやぶ粉よりも練り上げているときに固くなる印象ですので、加水率も高めと言えます。
YouTube版の動画では、玄挽きそば粉101gに対して水54g(加水率53%)で練り上げていますが、押し出すときに恐ろしく固くなりましたので、それよりは少し水を多めにするのが良いです。
ただし、季節やそばの練り方によって、最終的にそばに残留する水分量は変化しますので、注意が必要です。
また、
極力水を加えず固く練ったそばを押し出すことが、おいしいそばに仕上げる上での重要なポイントですので、力に自信のない方はベーキングガンを分解せずに利用することをオススメします(笑)
2.ケーキ用の型と樹脂製のへらで練り上げます。
まず、気休め程度に容器をゆすって粉と水と絡めます。
水分が多い部分がすぐに塊になりますので、周りの粉をかけながらザクザク切断するように混ぜ合わせます。
始めは水分量が少ないように思われますが、次第に粉がべったりしてきて混ぜるのに力が要るようになります。
へらの根元を持って、容器の底にへらの先端をこすり付けて薄く延ばすように練り上げます。
粉がしっかり練れていない場合は、写真のようにへらで引っ掻いた際にボソボソ・バサバサしていて、このまま押し出し製麺してもそばが短く切れてしまいます。
しっかり練り込んでいくと表面が滑らかになっていき、生地にも粘りが出てきます。
なお、最初に加えたそば粉102g+水49g(加水率48%)では明らかに水分不足でしたので、途中で水を加えて調整しています。
そばを練るこの工程は、どんどん香りが損なわれていく印象を受けますので、最初に加水率を決定しておいて後から水分調整をしない方が良いと感じました。
YouTube版の動画では9分半かけていますが、慣れてきても7分ほどかかってしまうのは、今後の改善の余地ありです。
3.そばの形を整えて押し出し器に充填します。
へらの角を利用すると凹みや溝となり、そばの内部に空気が入りますので、容器の角やへらの平たい部分を利用して転がすように形を整えます。
押し出し器の円筒の形に引き伸ばしたら、充填して準備完了です!
4.玄挽き十割そばを押し出して製麺します。
そばが十分に練り込んであり、適度な固さがあれば押し出した後に麺同士がくっつくことはありません。
まな板の上で渾身の力を込めてそばを押し出します!!!
【やぶ粉】の方が粘りがあり、粗挽きの玄挽きそばはやや表面がボソボソしていますが、このままゆでても煮崩れせずに麺の状態が保たれます!!
5.ゆでて完成!!
押し出したそばを、沸騰したお湯の入った鍋に投入します。
そばは鍋を揺するだけで見事に分離していき、そばらしい麺の形がしっかり保たれております!!!
お好みのゆで時間ですぐに食べることができます!
市販の乾麺と違って、すでに麺の中心部まで水分が均等に行き渡っていますので、火を通す時間を短くすることができるのです!!
お湯の量が減らせる点とゆで時間が短縮できる点から、かなりエコな調理方法と言えるのではないでしょうか!
感想
押し出しによる玄挽き十割そばの自作を行った感想を以下にまとめます。
<押し出しによる玄挽き十割そば自作のメリット>
- つなぎや打ち粉を使用しなくても、玄挽きの十割そばが素人でも作れる【最重要ポイント】
- 伸ばす・切る・ゆでる工程を短縮することにより、風味がしっかり残留している気がする。
- 広いスペースやそば打ち専用の道具が必要ない。
- できあがるそばの水分量が通常のそばより多くなるため、もっちり食感となる。
- ゆで時間が短いため麺の外側がブヨブヨに溶けることがなく、そば湯に溶け出す分量も少ない。
- 自宅でそばを作ることで、そば湯に溶け出した栄養成分も残さず飲み干すことができる。
<押し出しによる玄挽き十割そば自作のデメリット>
- 通常の方法で練り上げられたそばは、恐らく固くて人力で押し出すことができない。
- できあがるそばの水分量が通常のそばより多くなるため、通常のそばとは少し食感が異なる。
- 一度に押し出せるそばの量に限りがある。(小分けして何回も押し出すことは可能)
- そば粉の種類によっては押し出し製麺はできない。(✖:韃靼そば粉)
栄養のある食材が自宅でおいしく簡単に食べられるようになりましたので、それだけでも大きな成果だとかめは感じております♪
最後に:そばの殻に含まれる栄養について
「体にいいらしい」というイメージだけで終わってしまうのは良くないので、ネット上にある情報をかき集めてみます。
まずは、殻を含まない【全層粉】100g当たりの栄養をアマランサスと比較しながら見てみます。
<アマランサスとそば粉(全層粉)の100g(炊飯前)当たりの栄養成分>
栄養成分 | アマランサス | そば粉(全層粉) |
注目点 |
---|---|---|---|
エネルギー | 343kcal | 339kcal | |
水分 | 13.5g | 13.5g | |
たんぱく質 | 12.7g | 12.0g | |
・アミノ酸スコア | 100 | 100 | ★1 |
脂質 | 6.0g | 3.1g | |
炭水化物 | 64.9g | 69.6g | |
・水溶性食物繊維 | 1.1g | 0.8g | ★2 |
・不溶性食物繊維 | 6.3g | 3.5g | ★2 |
ナトリウム | 1mg | 2mg | |
カリウム | 600mg | 410mg | |
カルシウム | 160mg | 17mg | |
マグネシウム | 270mg | 190mg | |
リン | 540mg | 400mg | |
鉄 | 9.4mg | 2.8mg | |
亜鉛 | 5.8mg | 2.4mg | |
銅 | 0.92mg | 0.54mg | |
マンガン | 6.14mg | 1.09mg | |
ヨウ素 | 1μg | 1μg | |
セレン | 13μg | 7μg | |
モリブデン | 59μg | 47μg | |
ビタミンA | 0μg | 0μg | |
ビタミンD | 0μg | 0μg | |
ビタミンE | 4.5mg | 0.2mg | |
ビタミンK | 0μg | 0μg | |
ビタミンB1 | 0.04mg | 0.46mg | ★1 |
ビタミンB2 | 0.14mg | 0.11mg | |
ナイアシン | 1mg | 4.5mg | |
ビタミンB6 | 0.58mg | 0.30mg | |
ビタミンB12 | 0μg | 0μg | |
葉酸 | 130μg | 51μg | |
パントテン酸 | 1.69mg | 1.56mg | |
ビオチン | 16.0μg | 17.0μg | |
ビタミンC | 0mg | 0mg |
※アミノ酸スコア表は、文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より抜粋した数値を用いて計算したものですので、参考程度としていただければ幸いです。
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/
<かめの注目ポイント>
★1:そば粉はアミノ酸スコア100の良質なたんぱく質が豊富です。
★2:麺類のイメージに反して、殻なしでも全層粉のそばには食物繊維が含まれています。
★3:そば粉はアマランサスにはほとんどないビタミンB1が豊富です。
アマランサスが最強すぎてほぼ完敗ですが、殻が含まれていないそば粉であってもビタミンB1が豊富に含まれている点に注目します。
玄米も同様にビタミンB1が100g中0.41mgも含まれていますが、これが白米の場合は0.08mgまで低下します。
想像の話となりますが、その他ビタミンB群も「白米→玄米」とすることで含有量が数倍に跳ね上がっている点から、そばの殻にもビタミンB群が豊富に含まれているのではないかとかめは考えます!!
穀物の外殻に豊富なビタミンが含まれている点は、「小麦粉→ブラン」のパターンでも同じことが言えます。
というわけで、
ビタミンB群が加熱によりたくさん溶け出している【そば湯】は残さず飲み干すべし!!
という結論です!!
また、「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」のリストには登場しない、【ルチン】という成分がそばに豊富に含まれていることは有名ですよね。
<ルチンの特徴>
※Wikipedia「ルチン」より抜粋。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%81%E3%83%B3
- 柑橘フラボノイド配糖体の一種
- 天然ルチンは水に不溶性でアルコールには溶解する。
- ダッタンソバにはソバの100倍のルチンが含まれている[2]。
- 「健康によい」として様々な効能が謳われており、抗炎症効果や血流改善効果については数多くの論文にて報告されている。
- ヒトの栄養補助食品としてのルチンの有意で好ましい効果を直接的に証明する臨床研究は存在しない。
- ルチンは抗酸化剤でもある[22]。クェルセチン、アカセチン、モリン、ヒスプデュリン、ヘスペリジン、ナリンギンと比較すると最も活性が強い[23]。しかしながら、他の試験では、ルチンの効果はクェルセチンの効果と比較すると弱いあるいはごくわずかであった[24][25]。
- ビタミン様の働きがあることから単体でビタミンPと呼ばれていた。後にビタミンPを構成するクェルセチンやヘスペリジン、エリオシトリンなどいくつかの物質が発見され、ルチンが単体でビタミンPと呼ばれることはなくなった。
血液系の健康トラブルの防止に効果がありそうですが、人体における影響はまだまだ分かっていないことが多いといったところでしょうか。
少し古い記事ですが、そばの殻に含まれるルチンについてはこちらのサイトで詳しく紹介されています。
※公益財団法人「北海道科学技術総合振興センター」のサイトに掲載の記事より抜粋。
https://www.noastec.jp/kinouindex/data2001/53.html
- 蕎麦殻にはルチンなどのポリフェノール配糖体を含み、有用資源として見直されるべき特性を有している。
- これまでの学術論文などでは、一般的に食用とされている普通蕎麦に含まれるルチン量は、蕎麦粉で20~100ppm、蕎麦殻で20~30ppm程度と報告されているが、定量法などに問題があり、この正確な量を明らかにする必要があると共にルチンなどポリフェノール配糖体の抽出方法を明らかにした。
- 蕎麦殻には250ppm以上のルチンが含まれていることが明らかにされた。特に蕎麦殻でのルチン量はこれまで報告されている含有量より8から10倍量の値を示し、廃棄物としてではなく資源として見直されるべきものであることを証明した。
- 蕎麦殻粉砕物をそのサイズで分画してメタノール抽出試験を試みた。その結果、120mesh以下:1200ppm, 120~80mesh:800ppm、80~40mesh:55ppm、40mesh:7ppmとなり(meshは篩網の細かさを示し、数字が大きいほど細かい)、80メッシュ以上大きな粉体(40mesh以下)は極度にルチン抽出効率が低下することが明らかにされた。この傾向は茎でも同じであるが、堅固な組織構造を有する蕎麦殻ほど顕著ではない。
- 実用的な蕎麦殻からのルチン抽出方法の検討は、熱水抽出で行った。この結果、70~100℃までの温度で15分くらいが望ましいことが分かった。これ以上の抽出時間ではルチンが分解してしまう。また50℃以下では抽出はされない。
そばの殻にもルチンが豊富に含まれることが想像されますが、固い殻を粉砕して抽出する必要があるということが言えそうですね!!
つまり、ルチンを効率的に摂取しようと思ったら、石臼挽きよりも細かく粉砕されるロール挽きで、篩のメッシュも細かい方が良いという発想になります…
そこまでルチンをたくさん摂取したいわけでもないので、かめはおいしさ優先で粗挽き・玄挽きそば粉を選びますが(笑)
次に、そばの殻の栄養についてまとめられている最近のまとめ記事がありましたので、参考にさせていただきます。
※「化学と工業 │ Vol.73-12 December 2020」の友竹浩之さんの記事より抜粋
https://www.chemistry.or.jp/journal/ci20p920-922.pdf
- そば種子の最外層であるそば殻にも抗酸化成分が豊富に含まれている。確認された成分は,プロアントシアニジン,低分子フェノール化合物であるプロトカテキュ酸およびプロトカテキュアルデヒド,フラボノールのヒペリン,ケルセチン,フラボンのビテキシン,イソビテキシンなどであった8)。
- そば殻抽出液には,消化管内で二糖類分解酵素を阻害して,ラットの血糖上昇を抑制する作用9)や 2 型糖尿病モデルマウスの脂質代謝を改善する作用10)が報告されている。
抗酸化作用・血糖上昇抑制作用・脂質代謝改善作用が期待されている成分がいろいろ入っている訳ですね!!
ただし含有量の情報はなく、人体への影響についての研究もまだまだこれからだと思いますので、これ以上のことはネットからは分かりませんでした…
ここからはかめの考察・結論となります。
- そばやそばの殻に含まれているビタミンB群をはじめとする水溶性の栄養成分は、そば湯を残さず飲み干すことでしっかり摂取しよう!
- そばの殻に豊富に含まれているルチンやその他の抗酸化成分は脂溶性の栄養成分のため、そば湯にはあまり溶けていないと思われる。
- そばの殻の脂溶性の栄養成分を効率よく体内に吸収するために、よく粉砕した上で、油と一緒に調理・摂取しよう!
すでに殻が粉砕された状態で売られている【玄挽きそば粉】は、ビタミンが不足しがちで血管もダメージが蓄積ぎみな忙しい現代人にとって、最強食材と言えるのではないでしょうか!!
そして、油と一緒に調理・摂取すべき点は、ヘルシーな料理であったはずのそばにおいても鉄則と言えそうですね!
今回の記事を書いていて、かめの頭に最強の健康料理が思い浮かびました…
そうか、このイラストは超健康【カレーそば】だったのか!!!
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