読書記録:A Passage to India インドへの道1

『インドへの道』E.M.フォースター
(原作タイトル:A Passage to India)


普段は本を読まずに飛ぶ練習ばかりしているつるもおすすめする一冊です
<英語版>
https://www.amazon.co.jp/Passage-India-M-Forster/dp/0156711427
<日本語版>
https://www.msz.co.jp/book/detail/04574.html
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480028525/

 

イギリス統治時代のインド社会を基にしたフィクションです
様々な話題が凝縮されていて、多文化理解はもちろん、現代に通じるテーマが多く盛り込まれていておすすめです。
作者はイギリス人なので英語上級者は英語版にぜひ挑戦してみてください!Lexil指数は950なのでかなり難しいかもしれない。もし厳しそうであれば日本語訳を読んで概要を掴んでから、英語版に挑戦してみてください。

Lexil指数については以下をご覧ください。

洋書レベルをLexilでチェック!その1

取り扱われていると思われる内容をいくつかのテーマに分類しましたので、各々解説したいと思います。

植民地主義 colonialism
イギリスがかつて大英帝国と言われ、多くの植民地を保有していました
アフリカではエジプト・南アフリカ・ケニア・ウガンダ・タンザニア・ナイジェリア・ガーナ、オセアニア諸国、アジアではインド・香港などです。
第二次世界大戦で急速に力が失われ、1997年の香港返還でイギリスの植民地主義は終わります。
余談ですが、英国統治の特徴に、分割統治というものがあります。これは、被支配国の住民を人種、宗教、階級などさまざななカテゴリーに分割して統治する統治方法で、インドだけでなく、シンガポール支配においても、この方法が取られています。統治国の中で分裂させることで、矛先が被統治国であるイギリスに向くのを防いだのです。本書の中でも垣間見ることができます

支配国と被支配国の衝突 conflicts between dominating power and dominated power
本書の中でも最も大きなテーマです。様々な解釈があると思いますが、少なくとも、在印イギリス人とインド人が関わったときの結末について、主人公2人のように友情がない限りは悲惨あるいはネガティブであったことは確かです。
また、主人公以外の取り巻きもイギリスに対して様々な感情を抱いています。かつて、イギリスに留学していた弁護士であるインド人は世話になったイギリス人への恩を感じる一方、インドを統治するイギリス人に対しては友好的にはなれないため、イギリス人はインドに来ると人が変わってしまう、と信じている

友情 friendship
イギリス人とインド人の友情がどのように築かれたかを解説します。
主人公のインド人青年医師と中年イギリス人の関係は、ちょっとしたきっかけで始まります。しかし、異人種であるがために、不必要に気を使い、その結果、感情を害したりしてしまう場面もあり、こちらもハラハラしてしまうような危なげな友情ではありました。
その後、インド人青年がイギリス人により裁判で訴えられます。中年イギリス人はこの青年が無罪であることを確信し、仲間のイギリス人たちを敵に回してまで、無罪を主張し続けます。このことがきっかけで友情は強固なものとなります。
やはり最後にはお互いの友情をお互いに確かめ合う場面で小説が幕を閉じているので、友情を守り抜くことができたのです。ちなみに詳しくは下の「結婚」の項目に書きますが、友情があっても2人は会うことが許されない運命になります。(ディズニーのアニメ映画「The Fox and the Hound」を思い出します)

結婚 marriage
結婚によって、上記のイギリス人とインド人の関係がどう変化したかについて解説します。
小説中の在印イギリス人女性は、皆が皆インド人を見下し、侮辱します。よって、在印イギリス人男性は彼女たちと結婚するためにはインド人を捨てるしほかありません。
そのような社会で、主人公である一人のイギリス人女性とイギリス人男性は変わった考え方を持っています。まず女性です。教育があり、旅先のインドに到着したとたん、イギリス人の偏狭さに気がつきます。自身の勘違いからインド人を相手に訴訟を起こしてしまうものの、取り消すほど肝の据わった女性ですが、このような行動が在印イギリス人男性との結婚を不可能にしてしまいます。
次に男性です。男性としては唯一インド人に友好的な立場にありました。しかし、在印イギリス人女性との結婚によって友情で結ばれているインド人とさえ会うことを諦める、という結末を迎えます。
ちなみに在印イギリス人女性の結婚相手というのが、前に書いたインドに旅に訪れた女性の妹です。

異教徒間の摩擦 relationship among people of different religions
小説中のイスラム教徒とヒンズー教徒の関係を解説します。
普段は陰口を叩きながらも互いの習慣を尊重しています。また、裁判でイギリス人対インド人という構図が出来たときには、宗教を超えて一致団結しています。
しかし、やはり宗教行事などで何かしらお互いの利益相反が生まれると、流血ざたになるという一説もありましたので、完全に尊重していたというわけではありません。社会全体で平和を保とうという意識は低いような気がしました。現状は分かりませんが、当時のインドでは高い階級の人しか高等教育は施されていなかったことが原因だと思いました。教育は、社会を平和を保つうえでも大切だという教えが小説の中であるように感じました。

この作品はイギリスの映画会社により映画化され高く評価されました
また、t著者のフォースターさんは晩年アメリカの政策に批判的で、アメリカの映画会社からのオファーは断り続けたそうです
フォースターさんについても関心が出てきましたので、また、次回以降の記事で書きたいと思います❢

つづきはこちらをご覧ください

読書記録:A Passage to India インドへの道2