社宅の壁断熱について

社宅の1階の冬の寒さで震えるつるさんの姿を見て、かめは断熱材を壁に敷き詰めることで寒さ対策をすることを考えました。

最も寒いリビングの北壁に断熱材を敷き詰めた結果が、添付の写真となります。

灰色と白色と水色の断熱材を使用して、楽しい感じの壁と窓に仕上がりました。

温度測定はしておりませんが、

ぜんぜん温かさが違う!!

とつるさんも大喜びです♪

検討内容および施工方法は以下のとおりです。

寒さの原因

5階建ての社宅の構造は鉄筋コンクリート造(RC造)となっており、内側にも外側にも断熱材がないため、

コンクリートを通して外気の寒さが徐々に伝わってきます。

2階以上であれば周囲に住んでいるご近所さんが部屋を温めることで、隣接する部屋のコンクリートが温かくなりますが、1階の場合は床下が地面のため2階以上と比べて寒くなってしまいます。

また、コンクリートは熱容量が大きい壁材となるため、冷えきった場合には温まりにくくなります。

さらに、

壁が冷たい状態で空気を温めると結露が発生し、カビが生えるといった問題も発生しました。

→コンクリート面が室内に露出しないように、断熱材を貼り付けることにしました。

材料選定

家で簡単にできる断熱処置としては、プチプチくんを窓ガラスに貼り付けたり、カーテンを閉めたりすることが考えられます。

これは

空気の層を増やすことで、温かい空気が冷たい空気に混ざらないようにして熱を伝わりにくくしています

家屋で用いられている断熱材は、この原理を利用して、無数の微小空間を樹脂中に発泡させることで高い断熱性能を実現しています。

身近な例としては、カップラーメンに用いられている発泡スチロールがあります。

90度近いお湯を薄い容器に注いでも、外側はあまり熱くなりません。

 

今回使用した断熱材は次の通りです。

材料①発泡ポリエチレン
・TPEH-1010W[TRUSCO製:ハードタイプ 1m×1m×1cm 白色]
・TPEH-1010GY[TRUSCO製:ハードタイプ 1m×1m×1cm 灰色]
<補足>発泡スチロール(発泡ポリスチレン)より柔軟性・耐久性が高いため施工面で扱いやすいと思い、今回選定。期待される熱伝導率0.05W/m・K程度。
https://www.orange-book.com/ja/c/products/index.html?itemCd=TPEH1010W+++++++++++++++++++++3100&q=TPEH-1010W

 

材料②押出発泡ポリスチレンフォーム(画像はメーカーサイトより切り抜き)
・スタイロフォーム1B[ダウ化工製:1.82m×0.91m×2cm 水色]
<補足>断熱材としての機能を追及した材料で、発泡スチロールよりももろい。コンクリート壁よりもさらに寒さが伝わりやすい窓ガラス部分に今回は利用。期待される熱伝導率0.036W/m・K以下。
https://www.dowkakoh.co.jp/styrofoam/feature.html

※熱伝導率とは・・・
厚さ1m、表面積1m×1mの壁に1K(1℃)の温度差を与えたときに、1秒間に壁を移動する熱量。
小さいほうが断熱性が高い。壁が厚く、表面積が小さいほうが熱は伝わりにくい。

<熱伝導率の比較>
・乾燥空気・・・0.024W/(m・K) (空気の流れがないことが条件=閉じ込めて利用)
・ガラス・・・1W/(m・K) (二重ガラスは間に空気を閉じ込めて真空引きすることで断熱性を高めている)
・コンクリート・・・1.6W/(m・K)

試しに色々な条件を無視して概算してみますと、

幅5m、高さ3m、厚さ50cmの北壁の内外の温度差が冬の時期で20℃である場合、
温度の保持のためには

1.6÷0.5×5×3×20=960Wのヒーターの準備が必要です。

①の選定の断熱材を貼り付けた場合は、コンクリート+断熱材の合わせ技で

585Wのヒーターで足りるようになります。

エコですね♪

※熱伝導率の合成の計算方法については省きます。
※各物性値はかめの想定によりますので、定性的な理解をするための参考程度の位置づけとなります。

材料①の断熱材の貼り付けは、シリコンシーリング材を使用しました。

材料③シリコンシーラント
SR-229 8070プロ[セメダイン製:防カビ材入り、透明]
https://www.cemedine.co.jp/architecture/products/all/8070pro.html

断熱材を貼り付けた壁と断熱材の間に温度差が発生するため、料理などで室内の湿度が高くなると結露が発生する恐れがあります。

壁と断熱材の間に空気が入り込まないように、断熱材を貼り付ける端はシリコンでしっかり密封します

断熱材自体は水を吸いにくくよくはじきますが、断熱材のつなぎ目部分は表面張力で水気がたまる恐れがあるため、防カビ材入りのシリコンであらゆる隙間を埋めていきます。

施工方法

まず、材料①の壁用の断熱材を12cm角の正方形にカッターでカットし、貼り付ける準備をします。

12cmというサイズは家の窓枠やその他の区画の大きさによって決めましたので、お好みで選ぶことができます。

はじめは細かく区切ったほうが断熱性が高くなると思っていましたが、シリコンシーリング材をくもの巣状に塗ることで空気の分断は可能であって、余計なカットの手間を増やすだけの結果になりました。

また、

シリコンの部分は断熱材より断熱性能が低いため、カットする箇所が少ないほど断熱の面では良好となります。

今回は遊び心で白色と灰色の断熱材を用意してイラストを作成予定でしたので、結果的には問題ありません♪ />

カットした断熱材の裏にシリコンを一周塗って、そのまま壁に貼り付けます。

細かくカットするほどシリコンの使用量が増えるので、次回からは可能な限りカットせずに貼り付けることを検討したいと思います。

また、今回はハードタイプの材料を利用しましたが、ソフトタイプの材料もあるようで、

こちらの方がやや断熱性が良いとの情報を後で知りました。

材料④発泡ポリエチレン

・TPES-1010W[TRUSCO製:ソフトタイプ 1m×1m×1cm 白色]
https://www.orange-book.com/ja/c/products/index.html?itemCd=TPES1010W+++++++++++++++++++++3100&q=TPES-1010W

 

一方で、ソフトタイプは中に閉じ込めた空気が夏季に熱膨張する度合いがハードタイプより大きいため、

冬季に工事を行った場合は浮き上がる心配があるため注意が必要です

ハードタイプはカットの際にやや苦労する点と価格がソフトタイプよりやや高い点がデメリットとなります。

安さと性能を追求するかめは、次回以降は熱膨張に注意しながら春か秋にソフトタイプで施工するのが良いと考えています。

かめがよくDIYで使う3種類の断熱材の違いは、こちらの記事で詳細に比較しています。

社宅断熱DIYでよく使う断熱材を比較【XPS・EPE・EVA】

 

 

塗ったシリコンが乾いてくると硬くなってしまうため、可能であればその日に貼り付ける予定の断熱材はあらかじめカットしておき、シリコンを使い切るようにするのが良いです。

断熱材の終わりの境界付近では、近くまで貼り付けるまで寸法が確定しないため、急いで手ごろなサイズの断熱材をカットしシリコンが乾く前に貼り付けます。

最後にカットした断熱材と断熱材の隙間に、シリコンを詰めていきます。

切った断熱材の破片や金属へらなど使いやすい道具を利用し、隙間に沿って伸ばして塗っていきます。

この時、表面の余分なシリコンは極力取り除いたほうが、熱が伝わりにくくなるので意識しましょう。

白色断熱材+透明シリコンの組み合わせではあまり目立ちませんが、灰色断熱材の表面でシリコンを伸ばすと目立つので、裏面に多めにシリコンを塗っておいて、隙間埋めが不要になるように対応するのが良いと思われます。/>

なお、シリコンシーリング材を使用した場所では、

しばらく独特のにおいが残りますので、作業中はマスクを使用し終了後は換気を十分に行います

材料②の窓用に用意した断熱材は取り外しができる必要があったため、ひとまずお試しで、窓枠のサイズにカットしてはめ込んで利用しています。

ボロボロと形が崩れてくるため、応急処置として紙のガムテープでふちを養生して様子を見ることとしました。

こちらは軽量で加工もしやすく耐水性も良いため、

外に金属製のシャッターがないお宅の窓にはめ込んで使うには非常に便利です。
感想

冬場の体感温度がとても上がったように思います。

断熱材とコンクリート壁や窓ガラスを手で触ったときの熱を奪われる感覚がだいぶ違います。

古い住居でも何とか暮らしたいと考えている方にはオススメです。

ただし、寸法測定・カット・貼り付けの作業が意外と大変ですので、途中で挫折しないような簡単な方法をまずは試してみるのが良いと思います。

また、社宅のコンクリート壁に勝手にシリコンシーリングを塗っているので、後できれいに撤去するように注意される恐れがありますが、かめは社宅が取り壊されるまで辛抱する予定です♪

何より断熱以上に今回嬉しかったのが、

カビの発生の抑制に非常に効果的であった点です。

入居時に白色塗装されてきれいだった北壁は、1年目の冬を越した後には冷蔵庫の裏や食器置き場の周辺がカビで真っ黒になっていました。

今回断熱材を貼ったことで、黒くなった部分を隠すことができ、年間を通してカビが発生しないことも確認できました。

今後も北壁でカビさんに遭遇しないことを祈ります!!

 

 

続編

社宅の断熱シリーズはいろいろ掲載しておりますので、関連の記事は【断熱】タグから一覧表示できます。

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