RC造の外断熱施工について考察

将来のつるかめドリームハウスは、耐震性や防音性を考慮して鉄筋コンクリート造(RC造)と決め込んでおりますが、内断熱が良いか外断熱が良いかは決めかねています。

今回は、外断熱施工について調査を行い、かめ(管理人)なりに考察した結果を記録に残します。

 

内断熱と外断熱についての概要は、こちらの記事で紹介しています。

平屋建てへの憧れ復活!

RC造の内断熱と外断熱について

 

外断熱施工のメリットについての考察

外断熱施工をネットで調べたところ、

株式会社 工房 さんのサイトが検索上位でヒットしました。

RC外断熱工法とは

※メリットや施工事例が分かりやすく記載されていましたので、今回の記事で引用させていただいた範囲は、~引用*~の形で記載しております。

 

◆メリット1:「中性化現象」を予防する

~引用1~

・「コンクリート」はアルカリ性、内部の「鉄筋」は酸に弱い材料でできています。鉄筋コンクリート造というのは、酸に弱い鉄筋を、アルカリ性のコンクリートで覆い、強度が落ちない構造になっています。

・コンクリート自体、アルカリの性質が、酸性雨や直射日光など厳しい外部環境にさらされますと、徐々に本来の品質が低下していきます。コンクリート強度が弱まってきますと、コンクリート躯体にクラックや亀裂が発生し、中の鉄筋が錆びやすくなります。

 

・コンクリートの中性化を予防する方法に「外断熱工法」があります。
コンクリートを外壁の側から覆う断熱材によって、コンクリート面が保護され、構造体の劣化を大幅に遅らせることができます。

~引用1終わり~

 

外気の二酸化炭素や酸性雨、直射日光によってコンクリートが劣化する「中性化現象」についてとても勉強になりました!

コンクリートを守る上で、外壁に覆いをすることが有効であるのなら、その時に断熱材も仕込める外断熱が予算の面で効率的なのだと感じました。

 

一方で、

この中性化現象を防ぐ目的だけであれば、断熱材を挿入せずに金属板の防護壁や雨どいを設ければ達成できそう(?)ですので、内断熱の選択も可能なようにかめは思います。

 

 

◆メリット2:建築面積に対して内断熱より部屋が広くなる

RC造の建築面積はコンクリート壁の躯体の厚みの中心線を基準にして計算されます。

内断熱や外断熱のコンクリート以外の壁の厚さは考慮しないので、断熱材が外にある外断熱の方が、建築面積に対して部屋が広くなると言えそうです。
(かめのメモレベルの見解ですので、工事の細かいところも調べ出したらあまり差はないかもしれません。)

 

 

◆メリット3:コンクリートの熱容量が大きく外気の影響を受けにくい

~引用2~

・鉄筋コンクリート造で使用されるコンクリートの熱容量というのは、木造の「木材」や鉄骨造の「ALC」等と比較しても、数字に大きな違いがあることが分かります。「コンクリート」は「空気」や「木材」、「ALC」に比べ、あたたまりにくいのが数値的にわかります。

~引用2終わり~

 

建築で利用する木・ALC・コンクリートの熱容量を単位体積当たりの数値に換算して並べた表が、検討の上でとても分かりやすいので参考にさせていただきました。

 

熱容量が大きいということは、温まりにくく、冷めにくいことを示しています。

この「外気の影響を受けにくい点」はメリットとして挙げられていることが多いですが、

エネルギーの面で見るとかめ的にはデメリットと考えています。

 

試しに、内断熱と外断熱の熱量計算をしてみます!

 

<計算条件>

・外気温TO=30℃、室温TI=25℃

・コンクリートの熱伝導率約Cc1.6W/(m・K)、

・押出法ポリスチレンフォーム断熱材の熱伝導率Cd=0.028W/(m・K)

・建屋と外気の全体の接触面積200m²

・コンクリート壁厚みLc=20cm

・断熱材厚みLd=2cm

 

<内断熱のケース>

内部の断熱材で移動を制限された熱量がコンクリートに蓄熱し、外気温とほぼ同じ温度で熱平衡状態になっているとすると、1m²の内壁に断熱材を貼り付けた時の熱の移動量Wは以下の式の計算で概算できるとします。

→Cd ÷ Ld × ( TO – TI ) = 7W/m²  ⇒ 1時間で25.2kJ/m²

また、温度差分の1m²のコンクリート壁の蓄熱量も計算します。

→1900J/(L・K) × 2 × 10 × 10 × ( TO – TI ) = 1900kJ/m²

 

熱の移動量に対して蓄熱量が大きいことから、いくら時間が経ってもコンクリート部分の温度は変わらず、常に1m²当たり7W の熱が建物の内部に移動すると見なせます。

【建物全体】7W/m² × 200m² = 1400W

☞家の温度を25℃に保つには冷房能力1400Wのエアコンを動かし続ける必要があります。

 

<外断熱のケース>

内部から冷房で冷やして室温が25℃に保たれている熱平衡状態では、コンクリート内部で温度勾配が発生していることが考えられます。

また、空気自体は熱容量が小さいため、外気の対流よりも直射日光の照射による温度上昇が外気温を30℃に引き上げているとして、空気の熱伝達率は無視します。

2つの熱媒(断熱材・コンクリート)を考慮した、熱移動量Wと中間温度Tmの方程式を解くことになります。

W = Cd ÷ Ld × ( TO – Tm ) = Cc ÷Lc × ( Tm-TI )

→Tm ≒ 25.7℃ ⇒ W ≒ 6W/m²

 

熱平衡状態での建屋への熱の移動は外断熱の方が少し小さいように見えますが、

注意が必要です!

 

コンクリートに温度勾配を発生させ熱平衡状態に至るまでの冷却が必要ですので、その吸熱量を計算します。

→1900 × 2 × 10 × 10 × ( Tm – TI ) ÷ 2 = 133kJ/m² ⇒家全体で26600kJ

☞家全体の温度が安定するまでに26600kJ ≒ 7.4kWhのエネルギーを余分に消費しています!

 

コンクリートが温まりにくく冷めにくい点は、所望の温度に至るまではデメリットとして働くということです。

ただし、実際にどちらの方がエネルギー効率が高いかは、部屋の構造によって決まる外壁や床の熱橋の影響を細かく考慮する必要があります。

 

なお、土地に余裕がある場合は断熱材の厚さを2cm→10cmに増強することで、

家全体の熱の移動量272W、温度勾配に必要な吸熱量6460kJ

に改善される計算です!

しかし内断熱の場合でも同様に熱の移動量は280Wまで低下しますので、コンクリートを温めたり冷やしたりする熱量分だけ外断熱の方がロスがある事実は変わりません。

 

断熱上のメリット・デメリットの議論は、部屋の間取りが決まってからになりそうですね(笑)

 

◆メリット4:結露防止・劣化の抑制などいろいろ

~引用3~

・いろんな視点から外断熱と内断熱の○×を比較していけば、外断熱も決して万能でないことがわかります。

・まだ日本での普及率が高いとはいえない外断熱材は、流通面からも施工の手間からも、内断熱より建築コストが増額となる難点があります。

~引用3終わり~

 

この表を見た時に外断熱のメリットとしてかめが注目したのは、結露防止劣化の抑制です。

 

<結露防止>

エネルギー面では内断熱の方が良いように思えても、室内の結露を防止するためには、壁も温める外断熱の方が間違いないように思えます。

一方で、RC造の社宅の壁に断熱材を貼り付けた経験があるかめとしては、断熱が弱い部分を一つ一つ克服していけば結露はそこまで深刻な問題にならないとも考えています。

※社宅の壁断熱については、こちらの記事で紹介しています。

社宅の壁断熱について

 

<劣化の抑制>

コンクリートに発生する温度差を抑えることで、コンクリートの劣化を抑えることは、外断熱でなければできないメリットと思います。

コンクリートの劣化により懸念される問題として耐震強度の低下や雨漏れが挙げられますが、内断熱でこの点を解決する対策もあるように思われますので、どこまで頑丈にしたいかで判断することになりそうです。

 

 

外断熱の施工方法

RC造の外断熱には、【湿式外断熱工法】【乾式外断熱工法】があるようです。

~引用4~

【湿式外断熱工法】

コンクリート躯体の上に、外断熱材を直に張る方法を「湿式」の外断熱工法と呼びます。湿式の外断熱には、湿気を通すものから通さないもの、左官で仕上るもの、タイル張り施工ができるもの、先に型枠の中に打ち込むもの後から接着張りするもの、仕上げ材と一体化しているものなど実に様々な断熱工法が存在します。

断熱材の継ぎ目に強化メッシュを伏せ込み、仕上げ面のクラックを防止。

~引用4終わり~

 

樹脂製の断熱ボードを接着剤で壁に貼り付けていく工法ですね。

 

<かめチェックポイント>

・接着剤の利用は、コンクリート内の水分の乾燥を阻害して家の中の湿度を高めることにつながらないでしょうか?

・接着剤の利用は経年や熱膨張による剥がれの心配はないでしょうか?

 

感覚的な話ではありますが、べったりと壁に貼り付けず、しっかり換気されている方が良さそうですので、以下に紹介する乾式を選びそうな気がします。

 

~引用5~

【乾式外断熱工法】

外断熱材と仕上げ材の間に通気層を設ける工法を乾式工法といいます。

この方法では、外断熱で外壁を板張りにしたい時や金属サイディングを採用したい時などに採用することが多い施工方法です。一般的に乾式工法は湿式よりも金物コストや施工手間がかかるため、外断熱工法の中でもコストが上がる傾向にあります。

~引用5終わり~

 

断熱ボードを壁に貼り付けるのではなく、アンカーボルトをコンクリート壁に打ち込んで、外装と併せて物理的に固定する工法ですね。

 

以下の3つのサイトの資料が非常に参考になりました。

★旭化成さんの最新高性能断熱材「ネオマフォーム」を利用した、乾式外断熱「NoiM工法」に注目です!
https://www.asahikasei-kenzai.com/akk/insulation/neoma/s_rc/noim/

 

 

「スタイロフォームEX」を利用した株式会社ノザワさんのサイトには、乾式外断熱「ハイパート外断熱EX工法」の施工図面がたくさん!
https://www.nozawa-kobe.co.jp/product/product05/

★その他「スタイロフォーム」のRC造への利用については、デュポン・スタイロさんのメーカーサイトで確認できます。
https://www.dupontstyro.co.jp/styrofoam/usage_rc.html?ac=2

 

<かめチェックポイント>

・後施工型のアンカーボルトの打ち込みは経年劣化を招く恐れはないでしょうか?

・外装材を固定する金属部品は断熱材を貫通しているため、乾式外断熱特有の熱橋になるのではないでしょうか?

・屋外に設置された断熱ボードの経年劣化は大丈夫でしょうか?

 

外装があるとはいえ、

個人的には樹脂材料を屋外の温度変化にさらす方が、コンクリートよりも経年劣化を起こしそうな印象です…

※断熱材の経年劣化についての考察は、断熱材.jpさんの以下のサイトが参照になります。
https://dannetsuzai.jp/column/17/

 

 

まとめ

今回の調査・考察の結果を受けて、かめが現状で考えたドリームハウスはこちらです!

 

<かめチェックポイント>

・コンクリート躯体の加熱・冷却を伴わない、エコな内断熱を選択。

・部屋の削減とフリーアクセスの活用による内断熱の熱橋の低減

・市販の空調機を利用し、故障時の保守性を優先。

・断熱空間とは別に居間を壁材で密閉することにより、結露を低減

・ガルバリウム鋼板で覆うことで、太陽光・風雨による劣化防止。

ひんやりしない断熱フローリングがあれば、お掃除簡単でしかもあったか~い

 

 

外断熱工事におけるメリット・デメリットを考察した際に気付いた点を、改善ポイントとしていろいろ盛り込んでみました♪

 

内容としては、かめでも建てられそうな簡単構造にしましたので、

競争見積によるコスト削減を図りたいと思います♪

 

結局外断熱は、床から立ち上がるコンクリート壁がどうしても熱橋になり、

冬場の底冷えを解消するために暖房の稼働率が高くなることを予想して、不採用としました…

 

 

エコな老後を目指すなら、

部屋なし平屋建ての内断熱で行きましょう!