ロシア・サンクトペテルブルクのマリンスキー劇場から依頼され、1862年に同劇場で初演されました。
ヴェルディは19世紀イタリア・オペラ界における重要な作曲家です。彼の功績として言われているのが、これまで歌手と歌唱に依存していたイタリア・オペラから心機一転、ドラマを重視した作品を取り扱ったことがあります。
ヴェルディの功績については、こちらの記事をご覧ください↓
ヴェルディ以前のイタリア・オペラについての記事です↓
「運命の力」では、人間の復讐心をあぶりだした作品となっています。
原作の戯曲上演時と同様に、主人公の反宗教的な発言が、批判を呼びましたが、マリンスキー劇場での初演(1862)は総じて好評だったようです。
しかし、初演終了後、ヴェルディは、宗教上の縛りが大きい国々での公演に備え、いくつか改訂を加えていったそうです。
オペラのあらすじ(改訂版)
☆原作はスペインの戯曲であるため、舞台はスペイン。(部分的にイタリア)
美しい娘と若者が恋をしますが、二人の結婚を許さない娘の親は、若者を執拗に追いかけ、そのことを言い争っていた時に事故で死んでしまいます。
2人は一緒に逃げますが、生き別れに。
やがて、娘の兄が登場し、父親の仇打ちのため、若者と決闘を行いますが、破れます。(この前に、2人は戦地でお互いの素性を知らずに、命を救い合ったが、最後には気づき、復讐を決意するという場面がある。)
ついに2人が結ばれたと思いきや、死に際で兄が妹を殺し、若者に対する復讐を果たしたと宣言します。
曲を聴いてみる!
この曲は、戦地で固く友情を誓った後に歌われます。(もちろん、後でお互いの素性がばれ、決闘することになりますが。)
割と淡々としている感じがしますが、そこが心地よいです。
テーマは復讐
相手を本気で憎むと、復讐してやろうと思うのが、人間の心なのでしょうか。復讐しても、過去を取り返すことは出来ないのに。
今、映画「メアリーの総て」で話題になっている小説フランケンシュタインでも、見捨てられたモンスターがモンスターを創った男に対して復讐を繰り返し、この男を破滅させるお話です。
こうした話が共感を得るのは、きっと人間の中にそういう部分があるからなのでしょう。