チャイコフスキーの「くるみ割り人形」ファンのつる(筆者)が、今回、「人形」絡みでバレエ音楽「ペトリューシカ」を紹介します!
バレエ音楽「ペトリューシカ」はロシア帝国時代(1721~1917)にピアニストであり、作曲家でもあったイーゴリ・ストラヴィンスキー(1882~1971)によって作曲されました。
音楽解説
出だし~7分28秒 ロシアの謝肉祭。民衆がお祭りを陽気に楽しむ。全体的に愉快な雰囲気。
7分28秒~ロシア民族のダンス<ロシアの踊り>が繰り広げられます。
9分55秒~人形使いがペトリューシカに命を吹き込むと、ペトリューシカは踊り子(バレリーナ)に恋をします。
14分26秒~ムーア人の登場です。エギゾチックな音楽がイスラム世界を彷彿させます。
17分59秒~踊り子とムーア人がワルツと踊っています。お互いに惹かれ合っています。
20分15秒~ペトリューシカがワルツの邪魔に入ります。
21分10秒~謝肉祭の賑わいが再び繰り返されます。
22分20秒~乳母の踊り
24分36秒~熊を連れた農夫の踊り
25分58秒~ジプシーと行商の踊り
27分01秒~御者と馬丁踊り
28分57秒~マスカレード(仮装のダンス)
30分30秒~ペトリューシカとムーア人の格闘
31分40秒~ペトリューシカの死
32分05秒~警官と人形使い
33分34秒~人形使いの前に現れるペトリューシカの幽霊
あらすじ
ペトリューシカは、操り人形で、ロシアの謝肉祭のフェスティバルで人形使いに命を吹き込まれ、踊り子(バレリーナ)人形に恋をします。
しかし、恋敵となったムーア人の人形と争いになり、ペトリューシカは無念な最期を遂げます。
感想
【失恋の結末について】
このバレエは19世紀にパリで初演されて以来、人々を引き付けてきました。
愛と嫉妬のテーマは普遍的な人間の内面を映し出していると高く評価されることは言うまでもありませんが、ペトリューシカが幽霊となって人形使いの前に現れるというゾッとする展開は、「たかが人形の話なんだ」という観衆が自らに言い聞かせる無意識的な心理が裏切られます。
こういう仕掛けが、「後味は悪いけれど印象深い」に繋がるのだと思います。
【ムーア人とロシアの他民族性について】
異教徒であるムーア人を主要な主人公として登場させているところに、当時のロシア帝国の他民族国家としてアイデンティティーが感じられます。
ちなみにロシア帝国時代の検閲は社会主義国家ソ連と比べると緩いものの、それなりの検閲は行われていた、と以前読んだことがあります。
実際、初演当時のロシア皇帝で、ロシア帝国最後の皇帝でもあるニコライ二世は、ドイツやフランス、オーストリア=ハンガリーなどの大国と友好的な関係を築いたと言われています。また、皇帝ニコライはロシア人ではなく、英ヴィクトリア女王の孫娘と結婚したそうです。