IH親子鍋によるコーヒー自家焙煎歴4年のかめ(当記事の著者)が、
「100Vコンセントを利用する卓上タイプのIHでもコーヒー自家焙煎ができないか」
卓上タイプIHの火力問題
かめがコーヒーの自家焙煎を始めた経緯や焙煎方法は、こちらの記事で紹介しております。
これまでかめは、
「ビルトインタイプ」のIHクッキングヒーター(200V-2000W)の500Wの加熱モード
で、4年間トラブルなくコーヒー自家焙煎をしてきました。
しかし、
「卓上タイプ」のIHクッキングヒーター(100Vコンセント-1000W)の400Wの加熱モード
を、利用したときに「待った!!」がかかりました。
【空だき防止機能】が働いて、
焙煎しやすい火力(400W~600W)での連続運転が途中で停止してしまうのです…
これは、卓上タイプのIH本体の許容温度が低いため、
ビルトインタイプよりも低い温度で安全装置が動作するようになっているためと想像します。
空だきとなる場合には、
「揚げ物モードで、低い温度でおためし」
の記載が説明書にありました💡
おためしの結果は、
「最大出力にしても1ハゼが発生せず、浅煎りから抜け出せずに香りや水分がただ抜けていく、明らかなパワー不足」
に陥りました…
過去の記事ですでに登場している、
【YAMAZEN製の卓上タイプのIHクッキングヒーター:YEP-S100(B)】
を、何とかコーヒー焙煎でも利用できるようにしたかったので、
今回の記事の内容を検討をするに至ったわけです(笑)
卓上IHで焙煎可能な親子鍋セット
最終的に決定した親子鍋と蓋を先に紹介しておきます!!
◆ステンレス親子鍋16cm [型式:YH8968]【㈱ヨシカワ】
※画像は㈱ヨシカワさんのこちらの電子カタログページより引用しました。
https://www.yoshikawa-lifestyle.com/catalog/sp-catalog/index_h5.html#8
◆ストーンマーブル鍋カバー 18cm [商品コード:4549509547839]【㈱カインズ】
※画像は㈱カインズさんのこちらの販売サイトより引用しました。
https://www.cainz.com/g/4549509547839.html
選定のポイントを以下に列挙します!!!
◆選定ポイント
1.IH対応のステンレス素材で鍋底を薄型化・軽量化・滑り改善
これまで使用してきたIH親子鍋は、熱伝導性能に優れているアルミニウムと、IHでの加熱が可能なステンレスを組み合わせた商品となっており、鍋厚が2.5mmと厚くなっておりました。
※画像は㈱ニトリさんの製品サイトより抜粋しました。4年間大変お世話になりました!!!
https://www.nitori-net.jp/ec/product/8941987s/
鍋底が厚く・鍋の質量が大きいと、
鍋が温まりにくくなりIHの温度センサーが先に温まってしまう
ことが考えられますので、
できる限り薄くて小さいサイズの親子鍋を選定するのが望ましいです。
また、鍋底がつるつるのステンレス鏡面仕上げのため、鍋の滑りが良く、腕や関節への負担が抑えられます♪
100歳までコーヒー自家焙煎を続ける上で、かなり重要なポイントです!!!💡
2.16cmの鍋と18cmの蓋でパッキンがジャストフィット
シリコンパッキンは度重なる焙煎で変質するため、ガラスの重みで蓋が沈み込んでパッキンが外れるようになりました…
ガラス蓋よりもひと回り小さなサイズの親子鍋を選定することで、
ガラス部分が鍋の内部に沈み込むのを防ぐことができます。
また、これまでは蓋の隙間から豆が脱走するためアルミホイルなどでふさいでいましたが、程よく通気が可能な隙間になったことで、パッキンに通気口を空ける手間も隙間をふさぐ手間も不要となりました。
3.中が見える&熱が冷めにくいガラス蓋
親子鍋セットは極力軽いほうが焙煎の負担が減りますが、重たくなったとしても、やはり中が見えるガラス蓋を選びました♪
中が見えることで焙煎中に蓋を開ける必要がなくなり、
また、ガラス材の熱容量が大きいことも相まって、
🔥内部の空間が冷めにくくなる効果が期待できます🔥
◆熱容量概算
・ガラス蓋 :ガラス比熱約0.75[J/(g・K)]×ガラス質量約250[g] ≒186[J/K]
・ステンレス蓋:ステンレス比熱約0.45[J/(g・K)]×ステンレス質量約200[g]≒ 90[J/K]
・アルミ蓋 :アルミ比熱約0.9[J/(g・K)]×アルミ質量約160g ≒144[J/K]
熱容量の数値が大きいほど、
【温まりにくく・冷めにくい】
ことが言えますので、
「揚げ物モードで温度を一定に保つ焙煎」
を行う上では、
熱容量(比熱×質量)の大きな蓋を選んだほうが温度が安定すると考えています。
コーヒー自家焙煎テスト
テストに利用したのは、
かめお気に入りのオンラインストア「まだゆめのつづき」さんの
2種類のペルー産フェアトレード・オーガニックコーヒーです♪
※「まだゆめのつづき」さんの販売サイトリンクはこちらになります。
https://www.mvcoffee.net/?pid=86440045
これまでは、144gの生豆を焙煎して120g(12杯分)の焙煎豆が作れていましたが、
鍋の小型化と火力強化を考慮して、「生豆:72g/焙煎豆60g」に半減しました。
前の親子鍋では、「揚げ物モード・最大火力5」でもパワー不足でしたが、
今回は「揚げ物モード・火力4」でもすぐに豆がコゲてしまいました(笑)
温度が落ち着いてから、揚げ物モードの火力を上げる方法で焙煎したところ、
【卓上タイプのIHと親子鍋の組み合わせで1ハゼ終了までの焙煎が可能】
なことが確認できました!!!
【1ハゼ終了までの焙煎でも十分おいしいコーヒーがいただける】
というのが、自家焙煎を続けているかめの自論です!!
2回の焙煎終了後に鍋を確認してみますと、表面中央がコーヒーの灰?サビ?で黒くなりました。
裏面は気になる変色もなく、全体的に変形もないので、耐久力に問題はなさそうです♪
一方で、最適化した親子鍋セットを利用しても、
【揚げ物モードの最大出力200℃保持】では、
「火力不足により2ハゼまでの加熱時間が長くなってしまい風味が損なわれる」
と感じました(笑)
卓上タイプのIHの火力調査
0.3Wまで測定できることになっているサンワサプライさんのワットモニター「TAP-TST8N」を測定器として利用します。
※サンワサプライさんのメーカー製品サイトはこちら。
https://www.sanwa.co.jp/product/syohin?code=TAP-TST8N
こちらの過去の記事では、電化製品の消費電力Wを測定するのに利用しており、
ACアダプターでUSB給電する小容量の電化製品などの電力も、細かく測定ができるのでオススメの商品です!!
話を戻しますと、
これまでの「ビルトインタイプ」のIHクッキングヒーター(200V-2000W)では、
500Wの加熱モードで連続焙煎しても【空だき防止機能】は動作せず、
2ハゼまで問題なく焙煎が進んでいました。
今回、
「鍋を小さくして熱容量を小さくしたにもかかわらず、2ハゼまで進まなくなってしまった」
ことについて、以下の点が考えられます。
・2ハゼまで進めてコーヒーをおいしく焙煎するためには200℃以上の温度上昇が必要。
・200℃を保持している状態では火力が500Wより低い。
というわけで、100Vコンセントに挿すだけで消費電力Wと消費電力量kWhが測れる商品を利用して、
卓上タイプのIHと親子鍋で自家焙煎を行った場合の火力を調査してみました♪
~加熱なし・待機電力0.3W~ ※コンセントを切って節電すべし!!!
運転モード | 鍋を置いた時の 実消費電力 |
鍋を回した時の 実消費電力 |
|
---|---|---|---|
「加熱・弱」 200W |
数W⇔約410W [間欠運転] |
数W⇔約400W [間欠運転] |
|
「加熱・中弱」 400W |
約410W | 約400W | |
「加熱・中」 600W |
約620W | 約600W | |
「加熱・中強」 800W |
約830W | 約700W | |
「加熱・強」 1000W |
約880W | 約730W | |
「揚げ物」 160℃ |
数W⇔約880W [間欠運転] |
約730W [間欠運転] |
|
「揚げ物」 170℃ |
同上 | 同上 | |
「揚げ物」 180℃ |
同上 | 同上 | |
「揚げ物」 190℃ |
同上 | 同上 | |
「揚げ物」 200℃ |
同上 | 同上 |
~「加熱・中弱」400W設定で鍋を置いた時の消費電力W~
~「加熱・中」600W設定で鍋を置いた時の消費電力W~
~「加熱・強」1000W設定で鍋を置いた時の消費電力W~
~「揚げ物モード」160℃設定で鍋を置いた時の消費電力W~
~「揚げ物モード」200℃設定で鍋を置いた時の消費電力W~
~「揚げ物モード」200℃設定で鍋を回した時のON状態の消費電力W~
~「揚げ物モード」200℃設定で鍋を回した時のOFF状態の消費電力W~
◆卓上タイプのIHの動作の特徴
- 加熱モードは、消費電力が一定に保たれている。
- 揚げ物モードは温度を一定に保つために、ON⇔OFF間欠運転を行っていて、火力を上げるとONの時間が長くなる。
- 鍋が小さいためか、600Wを超える火力から出力の上昇率が低下し、最大消費電力が900Wまで到達しない。
- 揚げ物モードでON運転時の消費電力は、加熱モードの最大消費電力と同等となっている。
- 加熱モードで空だき防止機能が働いた直後に、揚げ物モードを選択すると190°設定でON、180℃設定でOFFとなる。
◆かめの考察
- 今回選定の親子鍋IH焙煎セットでは、加熱モード運転中の約190℃で空だき防止機能が働いているように思われるため、200℃まで昇温可能な揚げ物モードの方が出力が高く保てる。
- 焙煎のために鍋を回すと、IHの中央からはみ出した分だけ消費電力Wが低下する。火力は低下するが、エネルギーが無駄になっているわけではない。
- ON⇔OFF間欠運転により豆が温められたり冷やされたりするのは、豆の熱膨張が中断されるため望ましくないと思われる。ON状態730Wの時に1ハゼが起こっても、OFF状態で治まってしまう。
- 一方で、1ハゼや2ハゼが起こるかどうかは、一定の温度のしきい値を超えるかどうかが重要と考えている。狙った焙煎度で確実に焙煎するには加熱モードで消費電力を一定にする従来の方法より、一定の温度を超えないように制御することができる揚げ物モードのほうが望ましいのではないかと感じた。
- 「揚げ物モード・180℃」で焙煎すると、1ハゼが不完全に終わって豆が乾燥していく。「揚げ物モード・200℃」で焙煎を続ければ、確実に1ハゼが発生した。2ハゼまでは試していないが、1ハゼには180℃より高い温度が必要と思われる。
- 加熱をしていくと、沸点が低い成分が先に蒸発していく。豆が水分を含んでいる状態で火力を強くしてしまうと表面の加熱ばかりが進んで香りの成分が飛んでしまう可能性があるため、低めの温度で水分を飛ばした後に狙った温度で一気に焙煎をするのが良いのではないかと考えた(現在検証中)。
上記の考察をふまえて、
今回選定の親子鍋IH焙煎セットを利用した場合の
【運転モード・消費電力W・温度】
を整理してみました。
16分の焙煎で96Whでしたので、72gの生豆を焙煎して60gの焙煎豆を得るのに約3円かかる計算となりました!!
コーヒーを淹れるのに必要なお湯やペーパーを準備するのにかかる費用を数円、
オーガニック・フェアトレードコーヒー生豆1kgあたり2,400円とすると、
1杯(焙煎豆10g)のコーヒーが約40円ほどでいただける計算となりとてもお買い得です!!!
初期投資8,000円(①親子鍋1,500円/②ガラス蓋1,000円/③卓上タイプIHクッキングヒーター5,500円)も、
100円コーヒーを購入した場合と比較して、コーヒー134杯(焙煎23回)で回収可能です(笑)
まとめ
家賃を節約して、
「ビルトインタイプ」のIHクッキングヒーター(200V-2000W)
に別れを告げたかめは、
「卓上タイプ」のIHクッキングヒーター(100Vコンセント-1000W)
に、コーヒー自家焙煎の活路を見出しました。
一方で、卓上タイプのIHクッキングヒーターによる自家焙煎には以下の制約が存在しました。
・空だき防止機能により、200℃を超える温度での焙煎ができない。
・200℃では2ハゼ以降の焙煎が難しい可能性がある。
ただし、つるかめ好みのおいしいコーヒーが焙煎できることは確認済みですので、検討によって得られたメリットのほうが多いです。
・軽量化・鍋底滑り改善による身体的負担の軽減
・シリコンパッキン経年劣化時のガラス蓋の脱落防止
・蓋サイズ調整による通気口の最適化と豆の脱走防止
・蓋の通気口の掃除に利用していたエアダスターの省略
【100Vコンセント×卓上IH×親子鍋】
さえあれば、
いつでも・どこでも・だれでもコーヒー自家焙煎ができますよ!!
オプション品として、
【超冷感★冷却アルミ座布団】
を焙煎コーヒー豆急速冷却用に継続利用していますので、作り方はこちらの記事をご参照ください(笑)
続編
焙煎後のコーヒー豆冷却グッツとして、「穴の雪平鍋」を作ってみました♪