ベートーヴェン=リスト「遥かなる恋人へ(An Die Ferne Geliebt)」

遥かなる恋人へ(An Die Ferne Geliebt)はベートーヴェン(1770~1827)が1816年に作曲したⅥ部からなる連作歌曲。


詩は、ベートーヴェンの知人であるチェコのブルノ出身の若き医師(当時21歳)によって書かれたそうです。また、詩が先に存在したのか、本歌曲の作曲にあたって書かれた詩であるのか、という事は不明のようです。

詩の内容は遠く離れた場所(都会?)に行ってしまった彼女に向けて、歌を送るというもので、第一部で語られます。
そして、曲の最終部である第六部では、風にのって届けられた歌が彼女のもとに届くことを願い、第一部から続く物語の幕が閉じられます。

そ・し・て、曲の中間部(第Ⅱ~第Ⅴ部,02:45~09:46)を通して、感じるのが、

ベートーヴェンが田園をどれだけ愛していたことか!!

鳥のさえずり、青空に浮かぶ雲、小川の流れ・・・

小川には、自分に代わって(彼女に)挨拶してほしい
雲には、自分の姿を(彼女に)見せてほしい
鳥には、自分の思いを(彼女に)伝えてほしい

第Ⅱ~第Ⅳ部(02:45~06:06)では上記のような田園の美しさを満喫しているかと思いきや、
第Ⅴ部では、燕の幸せな巣作りを眺めながら、自分と彼女の悲しき運命と比べて悲観的になっている、という感情のアップ&ダウン↻↶がある曲で、変化を楽しめます!

リストは、編曲の達人✨ですので、
歌詞を見なくても、ピアノで弾く(歌う)と自然と詩の世界に入り込める曲です☆