今回は【借り上げ社宅断熱シリーズ】の第7弾として、ユニットバスの【外】断熱を実施します。
※【借り上げ社宅断熱シリーズ】の第6弾の記事はこちらで紹介しています。
借り上げ社宅のお風呂場の断熱状況
借り上げ社宅のお風呂場は、美しいユニットバスになっております♪
しかし、残念なことに冬場に結露が発生し、お風呂場の照明にカビが生え出しました(笑)
※カビの対処方法はこちらの記事で紹介しています。
断熱調査のためにユニットバスの天井を開放したところ、
ユニットバスの外側には断熱材がないことが分かりました…
そして、
ユニットバスの周りのコンクリート壁だけ、発泡ウレタン吹き付け断熱施工が省略されていました!!!
かめ(管理人の一人)は建築基準の理解がないため、この工法には何か理由があるのかもしれませんが、
コンクリート壁から伝わる無限の冷気が、つるさん(もう一人の管理人)に猛威を振るうことは間違いなしです!!
※当借り上げ社宅のマンションは【内断熱の鉄筋コンクリート造(RC造)】であり、建物全体のコンクリートに蓄積された冷気が、断熱の弱い箇所から際限なく室内に入り込んで来ます。詳細はこちらの記事で考察しています。
ユニットバスの【外】断熱?
実は、借り上げ社宅に引っ越してきたときから、前のRC造の社宅で実施したこちらのお風呂場の【内】断熱を実施することを検討していました。
※前の社宅でのお風呂場断熱の詳細は、こちらの記事で紹介しています。かめが最も力を入れた断熱DIYです!!
ただし、今回の借り上げ社宅では以下の理由から、お風呂場の【内】断熱に踏み切れずにいました。
- 断熱材の貼り付けにシリコンコーキングガンが使えない。(賃貸物件のため、綺麗に保つ必要あり)
- 密閉できなければ蒸気が断熱材の裏に入り込み、カビの温床となる。
泣く泣く去年の冬は、お湯を垂れ流しにして、脱衣所のシーズヒーターをつけっぱなしにすることで、寒さをしのぎました…(全くエコではありません!)
借り上げ社宅でのお風呂場断熱はもはや諦めていましたが、ユニットバス照明のカビの原因調査をきっかけに、
【外】断熱なら!と閃いたのです!!
開放した天井からユニットバスの天井裏の状況を早速調査し、断熱施工計画を立てることにしました♪
<施工条件>
- 【大前提】借り上げ社宅の退居の時には元の状態に戻すことができる。
- ユニットバスの天井裏・外側へのアクセスはユニットバス天井の2か所の開口のみ。
- 安全上、ユニットバス上に登ることは避ける。
- 脚立がないため、リビングの椅子に乗って手が届く範囲での施工に限られる。
<施工方法>
- 【シート状の断熱材】をユニットバスの上から覆い被せることで、空気の対流を遮る。
- 【厚みのある断熱材】をシート状の断熱材の内側に詰めることで、断熱性を強化する。
☞理想的には厚みのある断熱材を隙間なく敷き詰めたいところですが、狭い天井裏で断熱材を連結させることは難しく、【対流の遮断】と【熱伝導の遮断】は異なる材料で実現することにします。
残念ながら床下は排水管とフリーアクセスの支柱が入り組んでいて、侵入できません…
が、壁と天井だけでもかなりの断熱効果が期待されると思います!!
断熱材選定
まず、【シート状の断熱材】はダイソーの保温アルミシートを利用することにしました。
何も考えずにダイソーにシート状の何かを探しに行ったときに、1.8m×1.8mでちょうどユニットバスの1面を覆うことができるサイズのみが残っていましたので、即・爆買いました(笑)
こちらの商品名は「保温アルミシート」となっておりますが、アルミは熱伝導率が高いので、断熱効果は発泡ポリエチレンによってもたらされています。
ただし、ポリエチレンの発泡が目で確認できるほど粗く、また、シートがとても薄いため、断熱性能はあまり期待できません…
※こちらの記事で紹介していますが、【アルミ蒸着フィルム層】の紫外線反射率はなかなかですので、夏場の遮光DIYにはオススメです。
☞こちらのシートを隙間なく連結させて、ユニットバス上部の空気の対流を遮るために利用します。
そして【厚みのある断熱材】は、今回も【借り上げ社宅断熱シリーズ】で毎回登場している、
ハイグレードのスタイロフォーム
を利用したいところでしたが、
ユニットバスの天井裏は狭く、曲げるのが厳しい押出法ポリスチレンフォーム(XPSフォーム)を利用することができません…
天井裏の配管類を避けながら、手の届かない範囲に断熱材を詰めていくためには、屈曲性と弾力性を兼ね備えた材料の選定が必要となります。
という訳で、
今回の断熱施工ではエチレン酢酸ビニルフォーム(EVAフォーム)でできたジョイントマットを利用することにしました!!
EVAフォームの発泡倍率と熱伝導率[W/(m・K)]は、密度[kg/m³]から推定できますので購入したジョイントマットの重さをまず量ります。
7枚で1,897kgでした。
そして、幅・厚みも測って体積を計算します。
重量および体積から計算される密度と、推定される発泡倍率と熱伝導率は以下の通りとなりました。
- 密度:約80kg/m³
- 推定発泡倍率:約12.5倍
- 推定熱伝導率:約0.046W/(m・K)
ソフトタイプの発泡ポリエチレンと比較して固さがありますので、固さに見合った発泡倍率・熱伝導率と思われます。
※EVAフォームの熱伝導率の推定方法は、EPEフォーム(発泡ポリエチレン)と合わせてこちらの記事で紹介しています。
断熱性能の面では、XPSフォームおよびソフトタイプ(≒発泡倍率が高い)の発泡ポリエチレン(EPEフォーム)に及びませんが、
断熱材として十分に機能します!!
加えて、この商品が他の断熱材料より優れている点として、ジョイント式となっていることでジョイント箇所の空気の対流は遮断されることが挙げられます!
天井裏で断熱材を組み当てる必要がある今回のDIYでは、【ジョイントができる断熱材】としてかなり重宝しました♪
断熱施工開始
1.調査・採寸する。
ユニットバスの上から【シート状の断熱材】を覆い被せて、【厚みのある断熱材】を詰めることが物理的に可能か、LEDライトとカメラを駆使して調査します。
コンクリートむき出しで何とも寒そうですね…
壁や隣の部屋の軽量鉄骨と、ユニットバスの隙間は35mmあることが確認されましたので、2つの断熱材を落とし込むことは、
「見た感じは可能」
との判断となりました。
ただし、実際には問題がいろいろ発生しましたので後ほど紹介します(笑)
2.保温アルミシートをOPPテープで連結する。
こちらもダイソーで購入したOPPテープを使用して、保温アルミシートをテント状に連結していきます。
アルミ蒸着フィルム側の方がつるつるしていて、熱伝導も発生するので、外側になるように貼り付けていきます。
窓枠や配管部分はあらかじめ切れ込みを入れておきます。
こちらのシートは天井裏に導入する前にテント状に作り込むことができますので、広いリビングで難なく作り上げました。
萎れていますが、期待は膨らみます♪
3.シート状の断熱材をユニットバスに覆い被せる。
ユニットバスの点検口(870mm×430mm)から、天井裏にシート状の断熱材を押し込みます。
奥の方まで手が届かないので、掃除用具を駆使してシートを展開してきます。
これがなかなかしんどいです(笑)
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ここで、肝心のコンクリート壁側の断熱シートが、いくら押し込んでも下に落ちていかないという問題が発生しました…
この原因は以下の3点(①~③)が考えられました。
①ユニットバスの設備の固定に使用されている木ネジが、ユニットバスの外側に飛び出して凸となっている。
☞ありとあらゆるネジを外すことで、断熱材がスムーズに通るようになりました!
②コンクリート壁の型枠固定用のボルトが残留して凸となっている。
☞ユニットバスと壁の隙間がある程度あったので、断熱材を激しくゆすることで何とか通せた気がします。
③見えていないところにユニットバスや窓枠固定用の軽量鉄骨が仕込まれている。
☞これについてはお手上げでした(笑)
残念ながら、窓の近くのほとんどの面が何かに引っかかってしまったことで、今回断熱できていません…
いろいろ頑張った結果、天井部分はきれいに保温アルミシートで覆われましたので、もはやコンクリートの天井は見えなくなっています♪
4.ジョイントマットを切断・連結・挿入する。
最初はジョイントマットを天井で全部ジョイントすることを考えていましたが、うまくいきませんでした…
- 天井側から押すことができないため、力が入らずうまくジョイントできない。
- ジョイント箇所が曲がるとすぐに分解してしまう。
- ジョイントするマットの数が増えると、重さでジョイント箇所が断裂してしまう。
そこで、短冊状に切断・連結したジョイントマットをOPPテープで補強し、壁とユニットバスの隙間をめがけて差し込むことで断熱材を詰めることにしました。
これなら手の入らない溝に差し込んだ断熱材を、将来引き上げることができますので、借り上げ社宅の退居の際に回収・処分できそうです!
また、現場の状況に合わせて自由にカッターナイフで切断できる点は、やはりとても使いやすい材料だと思いました。
ただし、ある程度差し込んだ断熱材が落ちないように支えながら、天井裏でジョイントする作業がかなり厳しかったです…
夢のマイホームのユニットバス断熱は、建築時に忘れずに実施したいと思います(笑)
5.ジョイントマットを突っ張り棒で固定する。
断熱材を壁に固定する方法として、前回も活用した突っ張り棒を利用します。
ユニットバスの幅と奥行きが1700mm未満でしたので、コンクリート壁と周辺の軽量鉄骨に突っ張り棒を仕込むことで、断熱材の固定が可能となります。
断熱材がコンクリート壁に隙間なく押し付けられることで、断熱効果も高くなりますので、突っ張り棒工法は個人的にかなりお気に入りです♪
何枚もジョイント連結したマットが自重で落ちていかないように、合計で4本の突っ張り棒を仕込みました。
6.天井にジョイントマットを敷き詰めて完成!!
天井面は先ほど仕込んだ突っ張り棒の上に、ジョイントマットを乗せることで済ませることにしました。
※何日も椅子の上でつま先立ちをしながら、手を上げて行う作業にさすがにくたびれてしまいました…(笑)
あらかじめ床で2枚連結したジョイントマットセットを、天井にどんどん敷き詰めていきます。
連結していないマット同士で隙間や段差が発生してしまいますが、多めにオーバーラップして敷き詰めることで断熱性の向上を図ります。
うまいことユニットバス外断熱が完成しました!!
※華がないので画像の色温度を上げてみましたが、施工前から外観は何も変わっていません(笑)
あと、もしかすると湿気がユニットバスの上部の空間に溜まるかもしれないと思い、水とりぞうさんを仕込んでおります!(笑)
感想
ユニットバスの外側に気合で断熱材を詰め込んだ結果…
あまりの暖かさに脱衣所のシーズヒーターを真冬に片付けることになりました!!!
脱衣所とお風呂場の暖かさがいつまでも持続することが実感でき、壁の結露の消失時間も明らかに早くなってるのです!!
【対流の遮断】と【熱伝導の遮断】
を意識したのが今回のポイントですね!
最後に、今回の断熱施工でかかった費用と労力は以下の通りです。
- 費用:約1万円(EVAフォームジョイントマット+保温アルミシート+突っ張り棒+OPPテープ)
- 労力:休日3日間×かめ1匹
見えない場所の断熱施工で苦戦する場面が多かったのですが、
EVAフォームの施工性とコストパフォーマンスにかなり助けられる形となりました♪
しばらくはこの借り上げ社宅でエコライフを送れることを祈ります!!(笑)
続編
ユニットバス外断熱に続く【借り上げ社宅断熱シリーズ】の第8弾は、こちらの記事で紹介しています。