肌に優しいフェイスマスクを自作しよう!【旭化成ベンベルグ×サテン生地】

つるさん(管理人の一人)の職場では、衛生管理の面でマスクとフードの着用が義務付けられています。

超敏感肌のつるさんの顔が肌荒れを起こして真っ赤になってしまったため、肌に優しいフェイスマスクを自作することにしました。

 

肌に優しい素材探し

つるさんの職場での、「マスク+フード」の着用状態のイメージ画像を楽天市場で探してみました。

 

 

新型コロナウイルス対策として、不織布でできたサージカルマスクの着用が義務付けられている職場も多いと思いますが、それに加えて顔がすっぽり覆われる白衣のフードも着用する必要があるのです。

マスクやフードのゴムで肌にピッタリくっついた状態で何時間も作業をしていると、

肌への刺激となって肌トラブルを引き起こす原因となってしまうのです…

 

冒頭で添付したイメージ画像の商品は、「皮膚刺激の少ない、肌に優しい安心素材」ということで、肌へのケアがされている点で好印象ですが、どういった素材が肌に優しいのか簡単に調べてみることにしました。

 

まず不織布は、繊維あるいは糸などを織ったりせず、熱的、機械的、化学的作用により繊維を接着またはからみ合わせた薄いシート状の布のようです。

※画像は一般社団法人 日本衛星材料工学連合会のサイトより引用。
http://www.jhpia.or.jp/product/mask/index.html

 

かめには普通のガーゼマスクと不織布マスクの刺激の程度の違いはよくわかりませんが、

つるさんの肌で肌荒れが起こりましたので、

不織布マスクの素材・織り方・ゴムの締め付けの全てが肌トラブルの原因として疑われます。

 

次に白衣のフードは、顔への密着性を高めるために伸縮性のあるバンドが仕込まれており、素材を調べてみるとポリウレタン弾性繊維が使用されていました。

 

素材に関わらずストレッチバンドが肌にフィットした状態が続けば、肌への刺激になることが予想されます…

 

※注意:「ユニフォームいしまる」さんの楽天市場の商品に注目しましたが、つるさんが職場で使用しているものとは異なりますので、商品の良し悪しは素材・形状や装着感を実際にご確認いただいてご判断いただければと思います。

 

 

 

マスクもフードも締め付けが発生することは避けられませんので、

【肌に優しい素材をマスクやフードと肌との間に挟み込んで刺激を抑える】

ことができないか考えました。

 

「肌に最も優しい素材」を探してみたところ、

【旭化成(株)さんのベンベルグ®】

にたどり着きました!!

※旭化成(株)さんのベンベルグ®紹介サイトはこちら。画像も引用。
https://www.asahi-kasei.co.jp/fibers/bemberg/bemberg-world/feature.html

 

 

インターネットで簡単に調べたところ、「肌に優しい素材」としては、

  • 静電気が起こりにくく
  • 吸湿性が高い

ことが望ましいようで、天然素材がこの条件を満たすものが多いようです!

※かずのすけさんのサイト「かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき」を参照。
https://ameblo.jp/rik01194/entry-12322557705.html

 

ベンベルグは【キュプラ】と呼ばれる再生繊維ではありますが、綿の種(コットンシード)に付いた産毛部分の「コットンリンター」が使われているため、天然素材と同様の性質を持ち合わせているようです!

※キュプラに関する参考サイト「munocoto fabric」:https://book.nunocoto-fabric.com/16203#feature5
※旭化成(株)さんの原料紹介サイト:https://www.asahi-kasei.co.jp/fibers/bemberg/bemberg-world/material.html

 

 

しかも

  • コットンリンターは綿実油の生産時に生じる副産物で、
  • 廃棄された後も自然の働きによって分解される生分解性繊維

ということで、環境への負荷が少ないエコ素材となっています!!

 

つるさんの肌にも環境にも優しい素敵な製品をありがとうございます!

 

 

ベンベルグの糸を使用した生地は、サラサラな質感に仕上がり静電気も発生しにくため、主に服の裏地として使用されているようです。

こちらの旭化成さんのサイトをのぞいてみますと、様々な種類の裏地用の生地が製品化されていることが分かります。
https://www.asahi-kasei.co.jp/fibers/bemberg/products/lining/type.html

 

その中でも、

サテン】

と呼ばれている生地が一番肌に優しいように思われました。

 

サテンとは、【織物の三原組織】の内の1つで日本では【朱子織り】と呼ばれている織り方のことを指します。

※画像はこちらの「ApparelX News」さんのサイトから抜粋。
https://www.excy.co.jp/wordpress/?p=541

 

抜粋した画像の水色着色の糸が生地の表面に浮き出して凸になっているとすると、黄色着色の凹との境界が一番少なく凸凹していないのが【朱子織り】ということになります。

実際に朱子織りの生地は肌触りが滑らかな仕上がりとなるため、高級なスーツ・コートの裏地に利用されているようです。

 

ということで、かめが調査した肌に優しい素材の結論としては、

【旭化成ベンベルグ×サテン生地】

になりました!

 

ベンベルグ×サテン生地の購入

ベンベルグのサテン生地は、旭化成さんのサイトを参照しますと4種類確認できます。

 

よく利用している楽天市場でこれらの品番を検索したところほとんどヒットしませんでした…

どうやらサテン生地のベンベルグのバラ売りはあまり行われておらず、卸売業者さんがロール単位で仕入れたものをカットしたものが出回っているように思われました。

 

何とかアマゾンで見つけた「AKP1085 アイボリー 112cm×2m」を購入しましたが、1980円で少し割高感がありました…

※画像はこちらのアマゾンの販売ページより引用。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B017X9ATQU/ref=ppx_yo_dt_b_asin_title_o00_s00?ie=UTF8&psc=1

 

つるさんの肌のコンディションが日に日に悪化しておりましたので、早速裁縫開始です!!

 

フェイスマスクの自作
1.生地を確認する。

アマゾンから届いたベンベルグの生地を確認すると、評判通りとてもつるつるでつるさんの肌に優しそうです♪

 

生地には表裏があり、裏面と比較して表面のつやと光沢が半端ないです!

 

表と裏で生地がどう違うのか手持ちのカメラの近接モードで確認してみますと、表面に出てきている糸の凸凹模様が違っていました。

 

ここでふと、

【たての糸(経糸)とよこの糸(緯糸)を単に織っているだけでは同じ仕上がりになるのでは】

という疑問が浮かびました。

 

この疑問のヒントとなる情報は、こちらの「シケンジョテキ」さんのページで詳しく解説されていました!
http://shikenjyo.blogspot.com/2018/11/blog-post.html

 

どうやら、紡績工場の生産性を向上させるためには、

  • ロールの巻取り方向に水平な経糸を細くして本数を増やし、
  • ロールの巻取り方向に垂直な緯糸を太くして本数を減らす、

ことが望ましいようです。

 

そして、経糸と緯糸の太さが異なることで、生地の表と裏で質感の違いが生み出されていたようです!

 

かめの想像ではありますが、太い糸は細い糸より曲がりにくいと予想しますので、細い経糸(たての水色の部分)の割合が多い表面は緯糸の凹み箇所以外は滑らかな平面となっていると思われます。

 

一方で、太い緯糸(よこの黄色の部分)の割合が多い裏面においても、細くて曲がりやすい経糸が浮き出してきて凸になってしまうため、凸凹面が表面より多くなってしまうと想像しました。

 

このため、サテン生地であっても裏面は平織りや綾織りと同じような肌触りとなってしまうと考えます。

 

実際に、ベンベルグの糸の拡大図が掲載されているこちらの旭化成さんのページを見てみますと、経糸(写真の上下方向)が細く、緯糸(写真の左右方向)が太くなっていることが分かります。
https://www.asahi-kasei.co.jp/fibers/bemberg/pdf/archives/fabric.pdf

 

 

ここで注意が必要だと感じましたのは、

【表面が滑らかだと思いこんていたサテン生地には方向性がある】点です!

 

経糸の方向に指でこすると非常に滑らかなのですが、緯糸の方向に指でこすると「ざらつき」が感じられるのです!!

 

これは表面に露出した多数の経糸が緯糸の凹みで引っかかるためと思われます。(図中のオレンジ矢印の位置の段差)

 

よって、フェイスマスクとして利用する上では、マスクの上げ下げによる擦れの影響を抑えられた方が良いことから、

【経糸を上下方向・緯糸を左右方向】

にして裁縫するのが良いと考えました。

 

今回、ベンベルグを使用していたこちらの市販のマスクも試してみましたが、経糸がどの方向になっているか確認したいと思います♪

 

 

 

指でこすった感じとしては、縦方向の方が明らかに滑らかでしたので【綾織り】【朱子織り】と思われます。
※あるいは、平織りでも経糸と緯糸の太さの違いにより滑らかさの方向性に大きな違いが生まれるのであれば、平織りもあるかもしれません(笑)

 

次に、同じようにカメラの近接モードで表面の構造を確認します。

 

綾織り特有の斜めのラインが肉眼でも見えますが、先ほどのサテン生地の裏側の写真にも似てるように見えます。

 

表面の光沢がそこまで強くないことから、サテン生地の表側を使用している可能性は低いですが、【綾織り】【朱子織り】で生地の方向性を意識した作りになっているところまでは推測できました!

 

少し話がそれましたが、今回の自作フェイスマスクは、

【サテン生地の表面をつるさんの顔側にして、経糸を上下方向に揃える】

ことで肌の刺激を抑えることを目指します!!

 

 

2.裁断する。

今回は自作DIYということで、フローリングの溝と木材・カッターを利用して直線の裁断を行いました。

 

思い付きでしたが、なかなかうまくいきました(笑)

 

きれいに切れたのは良いものの、ベンベルグの細かな糸がどんどんほつれていきますので、大きめにカットしないと後悔しそうですね…

 

つるさんの目と鼻の開口部分のカットも完了です!

 

 

3.目と鼻の周りを裁縫する。

裁縫を進めていく上で今回気を遣ったポイントとしては、

【縫い目が全く顔に触れないようにする】

ことが挙げられます。

 

目と鼻の周りに開口を設けるために切断した箇所が早速ほつれていきますが、これを防ぐために顔側に縫い目を作ってしまっては、せっかく肌に優しい生地を選定したのに台無しになってしまいます…

ということで、顔を覆う部分は生地を二重に重ねて裁縫し、縫い代を裏返して隠すことにしました。

 

つるかめ家にはダイソーの縫い針と糸しかないため、待ち針なし&手縫いで気合で縫いましたよ(笑)

 

玉結び→返し縫い→なみ縫い→返し縫い(折り返し)→なみ縫い→返し縫い→玉結び(完)の繰り返しです。

 

品番「AKP1085」を始めとするサテンのベンベルグは、ベンベルグの中では厚手の生地になりますが、とても柔らかかったので待ち針なしでの直線の縫い合わせに苦労しました。

 

何とか縫い目なしで目と鼻の周りの裁縫が完了です。

 

このバイザー形状…

 

 

(ターン)ジム!?(笑)

※画像はこちらのアマゾンのプラモデル販売サイトより引用。
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%A9-HGUC-RGM-79-%E6%A9%9F%E5%8B%95%E6%88%A6%E5%A3%AB%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%A0-%E8%89%B2%E5%88%86%E3%81%91%E6%B8%88%E3%81%BF%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB/dp/B00030EU4E

4.生地の端を補強する。

顔に当たらない部分で生地の端を補強することにします。

生地の補強にはダイソーで見つけた「バイアステープ」なるものを利用しました。

 

バイアステープは厚みがあったので、ベンベルグが変形しないように空き箱に生地を押さえつけた状態で垂直に針を刺して縫いました。

 

何とか全ての生地の端を補強しました!顔側の光沢がすごいです!!

 

手縫いはかなりしんどかったですが、柔らかい生地でも失敗しにくいので仕上がりはきれいで大満足です♪

 

 

5.頭の大きさに合わせて上部を1か所固定する。

自作フェイスマスクの上から白衣のフードをかぶるため、頭から落ちないように1か所固定すればOKです。

※写真はゴムバンドでそれっぽく止めていますが、洗濯でのびのびになりましたので、結局、直に縫い合わせています(笑)

 

 

6.耳の部分に切れ込みを入れる。

耳に引っ掛けるための切れ込みを入れます。

 

この切れ込みもバイアステープで縫い合わせることでほつれ予防をすることを考えましたが、固さが耳に良くないと思い、接着剤の塗布を試みました。

 

ダイソーの手芸コーナーにあった【手芸用ボンド】を試してみたところ…

 

2回ほど洗濯したところで接着面同士がくっついてしまい取れてしまいました…

 

水性形接着剤「エチレン酢酸ビニル樹脂」は、今回の用途には向いていなかったようですね。

 

ダイソーの接着剤コーナーにあった、溶剤形接着剤「クロロプレンゴム」でリベンジです!

 

エチレン酢酸ビニル樹脂の方が乾いた時に透明になる点では良かったのですが、クロロプレンの方が洗濯には耐性がありました。

 

 

実はこれまで掲載していた写真は2枚目のフェイスマスクとなります(笑)

 

1枚目のプロトタイプは、実際につるさんに使ってもらって洗濯とかした後に問題点がないか確認するために利用していました。

 

洗濯して少し縮んだ点と水性形接着剤がくっついた点を改善して、2枚分のマスクが完成です!!

 

 

感想

ベンベルグのフェイスマスクを早速つるさんの職場で使ってもらったところ、

肌触りがとても気持ちいいとの好評をいただきました!!

 

ベンベルグの糸の形状やサテン生地の朱子織り、キュプラの吸湿性などの肌に優しいポイントがうまく機能したと思われます。

 

 

 

一方で、

つるさんの顔が真っ赤になる症状はあまり改善されなかったのです…

 

 

肌への摩擦による肌荒れが原因と当初は考えていましたが、伸縮性のあるバンドが顔の毛細血管を圧迫し、血流が乱されていることが原因と推測されます。

これでは生地の滑らかさや吸湿性を改善してもあまり効果がないと思われます…

 

 

とりあえず、肌触りがよく肌荒れの防止に効果がある点は間違いなさそうですので、つるさんに職場でフェイスマスクをつけてもらえているのは嬉しい限りです♪

 

今日もつるさんはおばちゃんと格闘しにマスクを持って職場へ出かけていくのでした~
翔べ!つるマスク!!