チェコのプラハにあるナショナル・シアター（国民劇場）でドヴォルザークのオペラ「The Jacobin」を鑑賞することになりました！
今回は、ほぼチェコ限定で公演されているオペラをチェコ語で3時間鑑賞する、という一見とんでも計画を有意義な音楽鑑賞タイムにすべく、しっかり予習をして臨みたいたいと思います。
予習事項
１．プラハ国民劇場について
1)歴史 2)チェコの他劇場との比較
2. オペラ「The Jacobin」について
1)概要 2)あらすじ
3.ドヴォルザークについて
1)生涯 2)人柄 3)作品の評価
記事が長くなりすぎてしまいそうなので、かめさんモードで、3日に分けて書き進めていきたいと思います！
本日の内容は、「１プラハ国民劇場について」です。
1-1)プラハ国民劇場の歴史
プラハの国民劇場は1844年の秋頃に愛国主義の人たちが集まる場で発案されました。翌年1月末頃には、この案が議会に提出されたそうです。そして、同年4月には、法案が認められました。
👀すごいスピードですね～！
チェコ人たちの強い母国愛の背景として、チェコの首都プラハは16世紀にヨーロッパ随一の文化都市となったものの、三十年戦争（1618~1648）とハプスブルク家の専制政治を経て、崩壊の一途をたどっていったという歴史がありました。
しかし、1867年、オーストリア=ハンガリー皇帝の成立によって、西欧重視のオーストリア帝国から体制が転換し、チェコの文化が復興に向かい始めます。
その後の進行に遅れが出たものの、1852年頃には、プラハ城を臨むヴルタヴァ（モルダウ）川沿いに11ヘクタール（11万㎡）程の土地が購入されます。
👀「ナショナル・シアター」と「プラハ城」の場所をチェック↓
国民劇場（National Theaterの表示）は、プラハ城から1.3km、ヴルタヴァ川沿いに建つ非常に贅沢な立地であることが分かります。
プラハには他にも、プラハ国立歌劇場（プラハ中央駅に隣接）やエステート劇場（♪マークで表示）がありますが、より内陸にあるので、川や城を臨む景色で言うと、国民劇場は最上位です！
その後、紆余曲折を経て、1867年に建設が開始され、1881年の6月11日にオーストリア帝国皇太子ルドルフの訪問に合わせて、初演が行われました。初演の演目は、ドヴォルザーグと並んでチェコ国民楽派の一人である、スメタナのオペラ「リブシェ」です。
【メモ】リブジェという人物について
チェコの伝説に登場する女神。伝説ではプシェミスル朝(867～1306)を建国した。神話では、建国の後、夫となった農夫プシェミスルがのこぎりで敷居を作っている時に女神リブシェと最初に出会ったため、女神が「プラハ」（敷居）という国名を与えたと伝わる。プラハのヴィシェフラド広場には二人の銅像がある。
しかし、その２か月後、国民劇場は、火事に見舞われます。この出来事は国家の悲劇と受け取られますが、再建の機運は高く、国民の寄付により火災から約2年後の1883年11月18日には現在の国民劇場が完成します。
現在の国民劇場は、チェコの劇文化を保護することを掲げ、チェコ文化省により管理されています。
正に、チェコ人のチェコ人によるチェコ人のための劇場！
こうしたチェコ人たちの誇りは、ネオ・ルネッサンス様式に織り込まれたスラブ神話にまつわる装飾からも読み取れるそうです。実際に見学するのが楽しみです‼
【メモ】オペラハウスにおける原語公演について
公演する現地の言葉によるオペラ公演が一般的だった当時、オペラの原語による公演が行われるようになったきっかけを作ったのが、ヘルベルト・フォン・カラヤ（1908~1989）と言われている。翻訳されるのが一般的であった。
1-2)チェコの他劇場との比較
前述の通り、チェコには、大規模で有名な歌劇場が国民劇場の他に２つあります。
一つ目は、国立歌劇場です。こちらの劇場は、チェコにおいて少数派であったドイツ人たちにより、1883年（国民劇場が完成した年）より建設計画が始動し、1888年1月5日に初演を向かえます。初演の演目はドイツを代表するオペラ作曲家ワーグナーの「ニュールンベルクのマイスタージンガー」です。
👀国民劇場が「チェコ人のチェコ人によるチェコ人のための劇場」なのに対して、プラハ国立劇場は「ドイツ人のドイツ人によるドイツ人のための劇場」と言えそうです！
国立劇場の初演作品「ニュールンベルクのマイスタージンガー」については以下の記事で紹介しています。
もう一つは、エステート劇場は、ヨーロッパの劇場で現存する最古の劇場の一つと言われる劇場で、1783年に建設されました。こちらの劇場は、チェコ国民の啓蒙の一貫として建てられたそうで、主にドイツやイタリアのオペラが上演されました。一方、国民の認知度を上げるために、次第にチェコのオペラも上演するようになったそうです。
今日は、このあたりでお開きにしようと思います！
続きの記事です↓
