つるさん(管理人の1人)がヨーグルトを大量に消費するので、ヨーグルトの栄養や培養の化学を調査し、無脂肪ヨーグルトの培養に挑戦することにしました。
※画像は自家製ヨーグルトのイメージ図であり、正体はこちらの記事で紹介しています。
無脂肪ヨーグルトの栄養
まずは、無脂肪ヨーグルトとその原料となる脱脂乳の栄養成分を比較してみます。
<無脂肪ヨーグルトおよび脱脂乳100g当たりの栄養成分>
栄養成分 | 無脂肪 ヨーグルト |
脱脂乳 | 注目点 |
---|---|---|---|
エネルギー | 37kcal | 31kcal | |
水分 | 89.1g | 91.0g | |
たんぱく質 | 4.0g | 3.4g | |
・アミノ酸スコア | 100 | 100 | ★1 |
脂質 | 0.3g | 0.1g | |
炭水化物 | 5.7g | 4.8g | |
・グルコース | 0.4g | 0g | ★2 |
・ガラクトース | 1.1g | 0g | ★2 |
・ラクトース | 2.6g | 4.6g | ★2 |
・食物繊維 | 表記なし | 表記なし | |
乳酸 | 0.9g | 0g | ★2 |
ナトリウム | 0mg | 51mg | |
カリウム | 180mg | 150mg | |
カルシウム | 140mg | 100mg | |
マグネシウム | 13mg | 10mg | |
リン | 110mg | 97mg | |
鉄 | Tr | 0.1mg | |
亜鉛 | 0.4mg | 0.4mg | |
銅 | 0mg | 0.01mg | |
マンガン | 0mg | 0mg | |
ヨウ素 | 16μg | 25μg | |
セレン | 3μg | 3μg | |
モリブデン | 4μg | 3μg | |
ビタミンA | 3μg | Tr | |
ビタミンD | 0μg | Tr | |
ビタミンE | 0mg | Tr | |
ビタミンK | 0μg | 0μg | |
ビタミンB1 | 0.04mg | 0.04mg | |
ビタミンB2 | 0.17mg | 0.15mg | |
ナイアシン | 0.1mg | 0.1mg | |
ビタミンB6 | 0.04mg | 0.04mg | |
ビタミンB12 | 0.2μg | 0.6μg | |
葉酸 | 16μg | 0μg | |
パントテン酸 | 0.35mg | 0.60mg | |
ビオチン | 2.1μg | 3.1μg | |
ビタミンC | 1mg | 2mg |
※各数値は文部科学省さんの日本食品標準成分表2020年版(八訂)より抜粋し、アミノ酸スコアは計算によって算出。
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html
<かめの注目ポイント>
★1:アミノ酸スコアはどちらも文句なしの100。組成比率はほぼ同じ。
★2:牛乳に含まれるラクトース(乳糖)が乳酸菌の働きでグルコース(ぶどう糖)・ガラクトース・乳酸に分解されている。
三大栄養素・ビタミン・ミネラルの数値だけでみると、
「ヨーグルトの方がラクトースが分解されていておなかに優しそう」
という結論になります。
一方で、日本人がガラクトースの分解が苦手なのを考慮すれば、
「牛乳のままの方が糖質の吸収率が悪く(?)、実際の数値よりも低カロリー」
という仮説が立てられます。
このままでは、あえて培養する意味が見いだせないため、腸内環境を整えるといわれている【乳酸菌】について追及したいと思います。
ヨーグルトの乳酸菌について
ここでは、Wikipediaの「ヨーグルト」および「乳酸菌」に掲載されている内容を中心に、【乳酸菌】の情報を列挙していきます。
※Wikipedia「ヨーグルト」:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%88
※Wikipedia「乳酸菌」:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%B3%E9%85%B8%E8%8F%8C
- 代謝により乳酸を産生する細菌類の総称。
- 生育の為には糖類、アミノ酸、ビタミンB群、ミネラル(Mn , Mg , Fe等の金属)が必要。
- 乳酸によって食品のpHが酸性側に偏ることで、腐敗や食中毒の原因になる他の微生物の繁殖を抑えて食品の長期保存を可能にしている。
- 比較的低いpH条件下でよく増殖するため、最終産物である乳酸を作り出して環境を酸性に変えることで他の微生物の繁殖を抑え、自分自身の増殖に有利に導く役割を持つと考えられている。
- 乳酸菌は生体にとって有益になるバリヤーとして機能していると考えられているため、「善玉菌」と表現される場合もある。
- 善玉菌と呼ばれるものには乳酸や酪酸など有機酸を作るものが多く、逆に悪玉菌は有機酸の多い環境では生育しにくいものも多い。悪玉菌が作る毒素は生活習慣病につながる一因であるということが分かっている。
- 健康なヒトの腸内にはたくさんの種類の微生物が生息しており、ほぼすべての人の腸内からは、ラクトバシラス属やビフィドバクテリウム属の乳酸菌が検出される。
- ほとんどの乳酸菌が胃で死滅してしまい、腸に到達しないことが明らかになったが、製剤技術や新しい乳酸菌株の開発によって、生きたままの菌を腸に到達させることも可能となった。
- 経口摂取した乳酸菌がヒトの腸内で生残することは困難と報告されているが、最近の研究では加熱死菌体も疾病予防効果などを有することも報告されている。
- 乳酸を産生する能力は高いものの、歯面への付着能力が低く、プラーク中の菌数は少ないため、齲蝕原性は強くなく、齲蝕の進行を促進するものである(主因では無い)とされる。
また、【乳酸菌が産生する主な機能性物質】と、【報告されている乳酸菌の主な生理機能】については、こちらの論文で分かりやすくまとめられていますので、2つの表を引用します。
※論文「乳酸菌の生理機能とその要因」(2013年、上西寛司・瀬戸泰幸):
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/46/2/46_129/_pdf
<かめのまとめ>
- 体の中で起こっている乳酸菌の化学について、はっきりとしたことは断言できないが、牛乳を飲むよりはヨーグルトにした方が体によさそう!
- 乳酸菌が生産する乳酸でヨーグルトは酸性になるため、虫歯には注意!
後で登場する自家製無脂肪ヨーグルトのpHをチェックしたところ、pH4~5程となり、インターネット上で散見される数値と同等と思われます。
口内環境がph5.5を下回ると、歯の表面のエナメル質表層から歯の成分であるリン酸イオン、カルシウムイオンが唾液中に溶け出す【脱灰】が進行し、虫歯の原因となってしまします。
ただし、リン酸イオン、カルシウムイオンはヨーグルト中にも含まれているような気がしますので、砂糖入りのヨーグルトは避けて、食後の歯磨きを行えば特に問題にならないとかめは考えます。
ここまでの調査で、これからもヨーグルトを(つるさんに)食べ(てもらい)続ける判断となりましたので、次はヨーグルト選びに移ります♪
※かめは理由があってヨーグルトを食べていません。培養の化学を楽しんでいるのです(笑)
安心のヨーグルト探し
つるかめ家では極力、安心の食材を食卓に取り入れることを心掛けております。
植物系の食材であれば、オーガニック・無農薬栽培を選択的に選びますが、動物系の食材であれば原産国・原産地がもっぱら気になるところです。
市販のヨーグルトは原産国・原産地の表記がないものが大半を占めております。
つるさんが電話で問い合わせたところ、オーストラリア・ニュージーランドといった外国産の生乳が使われていること知り衝撃を受けました…
牛乳は地元のものを使っている印象があったのですが、
乳酸の効果で日持ちが良くなるヨーグルトは輸入品でコストを抑えていたのですね…
【無脂肪】【砂糖不使用】【国産の産地が分かる】【スーパーで手軽に買える】といった条件で絞っていくと、
フジッコ(株)さんの「カスピ海ヨーグルト 脂肪ゼロ」の一択となります!!
※画像はフジッコ(株)さんの商品紹介サイトより引用。
https://www.caspia.jp/cyproducts/35/
フジッコさんが北海道産生乳を100%使用したカスピ海ヨーグルトをヒット商品にしてくださったおかげで、中国・四国エリアにいても安心のヨーグルトをいつでも購入することができるのです!
感謝の気持ちを込めて、こちらの記事ではカスピ海ヨーグルト 脂肪ゼロの容器も有効活用させていただいております♪
ただし、こちらの商品は標準小売価格268円(税込289円)となっており、値引きシールが貼られているときしか、かめは購入していません(笑)
安心のヨーグルトを【安価に】食卓に取り入れる方法として、
自家製ヨーグルトの培養に挑戦することにしました。
自家製無脂肪ヨーグルトのコスト計算
仮に、カスピ海ヨーグルト 脂肪ゼロが税込200円で購入できるお店で、20%OFFの値引きシール付きで安定して購入することができることを想定したとすると、
安心できる産地の無脂肪ヨーグルト400mlあたり160円が目標となります!
自家製無脂肪ヨーグルトに利用する種菌は、東京食品(株)さんの「王様のヨーグルト」という商品です。
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<かめの注目ポイント>
- クレモリス菌BRF(DM-1、DM-2株)、サーモフィラス(KI-1株)の3種類が組み合わされており、ヨーグルト規定値の80倍位の乳酸菌に増える。初心者にも扱いやすい自家製ヨーグルト向けの商品と思われる。
- 市販の無脂肪ヨーグルトよりとろみが強く、酸味が抑えられている。カスピ海ヨーグルトなどのとろみの元となっている増粘多糖類は、単糖類・二糖類より虫歯の餌になりにくいのでは。(かめの仮説)
- ヨーグルトメーカーがなくても培養は問題なくできた。(かめの4月の実績)
- 無脂肪牛乳を使って培養が可能。ただし、「生乳」が推奨され「加工乳」は培養できないとされている。
※メーカーの製品紹介サイトはこちら。
https://www.mom-yogurt.com/product/king/
乳酸菌が3種類組み合わされているようですが、
菌種の違いによる健康効果は最新の論文を読み込まないことには判断ができませんので、またの機会に調査したいと思います…
こちらの種菌は楽天ポイントをいろいろ考慮して、1回分の3gで400円とします。
次に培養に利用する牛乳は、近所のコープで入手可能な、よつ葉乳業(株)さんの北海道十勝産の無脂肪牛乳です。
※画像はよつ葉乳業(株)さんの商品紹介サイトより引用。
https://www.yotsuba.co.jp/product/milk_17354.html
大型ショッピングモールやディスカウントストアでは、産地が特定されている無脂肪牛乳がなかなか見つかりませんでしたので、なかなかコープもやるなぁと思いました。
定価の247円で売られていたのも、さすがコープだなぁと思いました(笑)
最後に培養に利用する容器は、ダイソーで選んだこちらの「ハンドルキーパー」(450mL)です。
<かめの注目ポイント>
- 2本でおよそ1L牛乳1本分の培養が可能で扱いやすい。蓋すれすれまで詰めると480mLまで入る。
- 蓋すれすれまで牛乳を詰めることができ、嫌気性の乳酸菌に優しく、好気性の菌類の活動を抑制できる。
- 縦長で冷蔵庫にも入れやすく、場所を取らない。
- ハンドルがついていることで、固く閉めても開けやすく、つなぎのヨーグルトを区別するためのクリップの取り付けが可能。
- カラフルな蓋のラインナップあり、単調な培養作業が楽しくなる(?)
いかにもホームメイド感を醸し出していたこちらのシリコンパッキンとガラス蓋の容器は、止め金具1か所で固定しているため、パッキンの締め付けが均等でなく、逆さまにするとヨーグルトが漏れることからボツとなりました…
【種菌】・【無脂肪牛乳】・【培養容器】が選定できましたので、種菌1回分の培養計画を立ててコスト計算します。
- 種菌:400円
- 無脂肪牛乳:247円 × 13本 = 3211円
- 培養容器:110円 × 10本 = 1100円 【初期投資費用】
- ヨーグルト容量:480mL × 26本 = 12480mL
- 400mL当たりのコスト計算:(1.+2.+3.) ÷ (4. ÷ 400mL) ≒ 151円
- 初期投資費用を除くコスト計算:(1.+2.) ÷ (4. ÷ 400mL) ≒ 116円
値引きシール付きのカスピ海ヨーグルト 脂肪ゼロをスーパーに探し回らなくても、安心のヨーグルトを安価に自家培養できることが確認できました!!
上記の培養計画に従って培養された480mL×26ビンの自家製無脂肪ヨーグルトは、
【つるさんが無事に全ておなかを壊さずに平らげました】
ので、これからも安心して培養を続けていきたいと思います♪
しかも、
【市販の無脂肪ヨーグルトよりおいしい】との好評をつるさんからいただきました!!
Brilliant!!!
以下に、培養において注意したポイントを交えて、培養の様子を記録していきたいと思います。
無脂肪ヨーグルトの培養に挑戦
1.原材料を買い揃えます。
【種菌】・【無脂肪牛乳】・【培養容器】は、コスト計算の際に紹介したものとなります。
こちらの無脂肪牛乳は本当に脂肪0gの成分表示なので、メーカーの熱意が感じられますね!
近所のスーパーでより安価なこちらのタカナシ乳業(株)さんの北海道産の無脂肪牛乳も見つけましたが、「加工乳(脱脂濃縮乳)」であり、種菌の説明書に従うと培養ができないことになっています…
※こちらの画像はタカナシ乳業(株)さんの商品紹介ページより引用。
https://www.takanashi-milk.co.jp/products/detail/80
しかし、結論から申し上げますと、
実際に値引きシールのついた賞味期限が近い牛乳でも培養ができた上に、こちらの加工乳で作ったヨーグルトの方が好きというつるさんからの好評もいただきました(笑)
種菌の説明書において「加工乳」での培養ができないと記載されているのは、
【培養できない可能性があるためメーカーとして推奨できない】
ということだとかめは解釈しました。
かめの想像ですが、乳酸菌の生育の為には糖類、アミノ酸、ビタミンB群、ミネラル(Mn , Mg , Fe等の金属)が必要なため、牛乳を脱脂濃縮乳にする製造過程(遠心分離機・脱水など)でそれらが損なわれているのではないかと考察します!
※恐らく、生乳を無脂肪化するだけの製造過程ではそれらは損なわれない可能性が高いと言えます。
培養できたということは、今回選定した王様のヨーグルト内の3種類の種菌が生育するための環境がタカナシ乳業(株)さんの加工乳においても、【偶然】整っていたと言えます。
ただし、こちらの「加工乳」で培養したヨーグルトは、よつ葉乳業(株)さんの「生乳」で培養したヨーグルトと比べて粘りが弱く、少しサラサラしていますので、生育が不完全な印象を受けます。
口どけがよく、食感の上ではおいしくても、次のヨーグルトをふやすためのつなぎとしては利用しない方が良いように思いました。
2.種菌からヨーグルトを培養します。
種菌を温めた無脂肪牛乳に溶かしていきます。
乳酸菌は空気がなくても生きられるそうなので、好気性の菌類が増殖しないように蓋すれすれまで牛乳を詰めて蓋を閉めます。
最初に種菌がヨーグルトになるまでには時間がかかるようで、4月の20℃くらいの気温では36時間ほどかかりました。
ビンを横にしたときに浮かんでくるビンの中のわずかな空気で、ヨーグルトが固まったか確認します。
固まった後のヨーグルトは、常温で2日放置しても4月はおなかを壊さなかったので、発酵の効果により、かなり腐りにくくなっているように思います。
【常温のヨーグルトがいただける】のがうれしいポイントですね♪
3.ヨーグルトを分割して、ヨーグルトを増やしていきます。
できあがったヨーグルトも種菌同様にヨーグルトの培養に利用できますので、3等分して牛乳を注いでいきます。
先ほど紹介した培養計画に従って10個のビンを活用し、つなぎ用ヨーグルトによる短期間の培養を意識しました。
種菌を培養した時と違い、つなぎ用ヨーグルトを利用したときは半日でヨーグルト化が完了しました!
クリップを取り付けて「つなぎ用」と「食べる用」を区別すれば、冷蔵庫での保存も間違わなくて便利です。
※一度だけつるさんに間違えて「つなぎ用」を食べられてしましましたが…(笑)
<雑菌繁殖防止のために意識したポイント>
- 冷蔵庫で冷やしておいたつなぎ用ヨーグルトを使ってヨーグルトを培養できることも確認できたが、つなぎ用ヨーグルトは極力冷やさずに、短期間で培養した。
- 菌を使ってのヨーグルトの培養は6回までできるそうだが、安全を考慮して5回の培養計画とした。
- つなぎ用ヨーグルトの培養が早く完了するように牛乳とよくかき混ぜた。
- 1L牛乳パックを開封後に全て使い切れるように、できあがった480mLのつなぎ用ヨーグルトを160mLに3等分して、3つの培養容器に320mLずつ注いで培養した。余りの60mLはその場で飲んだ。
※説明書ではつなぎ用ヨーグルト20%以上では培養できなくなる可能性があるとの記載があるが、つなぎ用ヨーグルト約33%でも問題なく培養できた。
4.食べ終わった容器を次の培養に備えて洗浄します。
無脂肪ですので、【洗剤なし】【水洗いのみ】【煮沸・消毒なし】で見た目はきれい洗浄できます。
繰り返しの培養においても、今のところつるさんのおなかに異常はありません(笑)
ただし、
培養容器のハンドルキーパーの蓋の内側についているポリエチレンパッキンに水が入り込んで、雑菌が繁殖する点には注意です。
早速、ヨーグルト以外の菌がパッキンの内側で繁殖しておりましたので、次回からはパッキンを取り外してヨーグルトの培養を行いたいと思います。
つるさんがおなかを壊すまでは、この方法でヨーグルト培養を楽しみます(笑)
続編
培養方法・培養計画を見直し、更なる低価格化を図った続編はこちら!
YouTube動画も作成してみましたので、ご視聴いただければ幸いです♪