玉ねぎの栄養および頭痛の原因について

玉ねぎは体にいいと言われて食べてきましたが、詳しいことはよく分かっていなかったので、かめ(管理人)なりに調査した結果をまとめます。

また、頭痛が起こる原因も興味がありましたので、併せて考察した結果を記録します。

 

玉ねぎの三大栄養素・ビタミン・ミネラル

栄養成分はつるかめが良く利用する、文部科学省さんの

「食品成分データベース」

から、気になる成分をひとまず抜粋します。

※文部科学省さんの食品成分データベースのリンクはこちら
https://fooddb.mext.go.jp/

 

<玉ねぎ100g当たりの栄養成分>

 

栄養成分 含有量 注目点
エネルギー 35kcal
水分 91.1g
たんぱく質 1.0g
・アミノ酸スコア 42
脂質 0.1g
炭水化物 8.4g
・ぶどう糖 2.7g
・果糖 2.6g
・ショ糖 0.9g
・でんぷん 0.6g
・食物繊維 1.5g ★1
ナトリウム 2mg
カリウム 150mg ★2
カルシウム 17mg
マグネシウム 9mg
リン 31mg
0.3mg
亜鉛 0.22mg
0.05mg
マンガン 0.15mg
ヨウ素 1μg
セレン 1μg
モリブデン 1μg
ビタミンA 0μg
ビタミンD 0μg
ビタミンE 0mg
ビタミンK 0μg
ビタミンB1 0.04mg
ビタミンB2 0.01mg
ナイアシン 0.1mg
ビタミンB6 0.14mg
ビタミンB12 0μg
葉酸 15μg
パントテン酸 0.17mg
ビオチン 0.6μg
ビタミンC 7mg ★3

 

<かめの注目ポイント>

★1:糖質に対して食物繊維の比率が良好です。また、水溶性食物繊維も含まれています。

★2:豊富とは言えませんが、手軽にカリウムが摂取できます。

★3:豊富とは言えませんが、手軽にビタミンCが摂取できます。

 

 

三大栄養素・ビタミン・ミネラルに注目して見てみますと、他の栄養食品に比べて何か物足りない印象を受けますね。

 

ただし、近所の八百屋さんで300gの玉ねぎが25円で買えますので、

三大栄養素を過剰に摂取することなく、上記の食物繊維・カリウム・ビタミンCを摂取するにはお手軽のように思われました。

 

玉ねぎの辛み成分について

玉ねぎと言えばあの辛み成分が体に良さそうですが、「食品成分データベース」では調べられませんでした。

 

上記リスト外の栄養成分は、

・まとめサイトからそれらしい情報を収集

・かめなりに考察を行い、信頼できる情報源から引用した情報を掲載

という流れで整理したいと思います。

 

玉ねぎの有効成分としてネット上で謳われている成分
1.硫化アリル

・2つのアリル基が硫黄原子に結合した構造を持つスルフィド。

 

・常温ではニンニクの様な臭いのある無色透明の液体。

・刺激性がある。

水に溶けない

・天然にはワサビやニラやラッキョウの成分として存在する。

※画像および各情報はWikipedia「硫化アリル」より抜粋。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A1%AB%E5%8C%96%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%AB

 

 

多くのサイトで「硫化アリル」というワードが多用されていましたが、「水に溶けやすい」と説明されていましたので、

「とりあえず細かい性質はよく分からないけど、玉ねぎの健康効果をもたらす成分」

として誤って認識されている印象を受けました…

少なくともかめも調査を始める前は、「ポリフェノール」のように特定の構造を持つ分子の総称と思い込んでいましたが、「硫化アリル」は特定の分子の名称でした(笑)

 

ワサビやニラの辛さとは玉ねぎの辛さはジャンルが違いそうですので、玉ねぎにはあまり入ってなさそうですね。

 

 

2.アリシン

・ニンニクを刻んだり傷つけたりしてニンニクの組織を破壊すると、酵素アリイナーゼの作用により、アリインから変換される化合物。
※引用元では酵素をアリナーゼと表記していますが、かめはアリナーゼとして表記しています。

 

・さほど安定した化合物ではなく、放置しておくと徐々に失われ、調理すると速やかに分解する。

強い抗菌・抗カビ作用を持つ

・アリシンの殺菌効果は強力なため、ニンニクやタマネギなどを生で摂取したり、過剰摂取すると、胃腸内に存在する腸内細菌類をも殺してしまい、胃腸障害を引き起こす危険性がある。

・ビタミンB1と結合することでアリチアミンを生成し、ビタミンB1の吸収効率を高めるとともに、体内に長く留める効果を発揮する。

 

※画像および各情報はWikipedia「アリシン」および「アリチアミン」より抜粋。
その①
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%83%B3
その②:
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%81%E3%82%A2%E3%83%9F%E3%83%B3

 

 

 

 

ニンニクを切ったときに酵素の働きにより、辛みが増すのはこの「アリシン」が関係していると思われます。

ニンニクの辛さも玉ねぎの辛さとはジャンルが違いそうですので、これも玉ねぎを代表する成分ではなさそうですね。

 

 

 

3.二硫化アリル

・ニンニクなどのネギ科植物を切ったときに放出されるアリシンが分解(還元)することによって生成する。

 

・黄色みを帯びた液体で、水には溶けず、強いニンニク臭を持つ。

・ニンニクアレルギーを引き起こすアレルゲン。

・二硫化アリルは細胞の解毒に有効である。

・肝細胞の解毒作用を助けたり、神経細胞を酸化的ストレスから保護したりすることが、インビトロ(試験管内)の実験で示されている。

・その他、抗菌効果・大腸がん予防があることが報告されている。

※画像および各情報はWikipedia「二硫化アリル」より抜粋。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E7%A1%AB%E5%8C%96%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%AB

 

 

玉ねぎではなく、何だかニンニクの話にすり替わってきましたね(笑)

アリイン・アリシンや二硫化アリルなどのニンニクの含有成分については、湧永製薬(株)さんのサイトに詳しく記されていました。

 

※画像は湧永製薬さんの以下のサイトより抜粋。
http://www.wakunaga.co.jp/garlic/chemistry/more01.html

 

 

アリインは玉ねぎにも含まれていそうではありますが、

玉ねぎを切ったときに涙が出る現象やたくさん食べた時に頭が痛くなる現象は別の物質が関与しているような気がしました。

 

 

さらに調べてみますと、

ハウス食品さんのNews Releaseで涙の原因となる物質が詳細に記載されていました!

 

 

4.PRENCSO(1‐propenyl cysteine sulfoxide:S-1-プロペニルシステインスルホキシド)

・玉ねぎの辛み成分・催涙成分の元となる成分。

 

・玉ねぎに含まれる酵素アリイナーゼの作用により、PRENCSOから1‐propenylsulfenicacid(プロぺニルスルフェン酸)が生成される。

 

・酵素LFS(lachrymatory factor sunthasse)の作用により、プロぺニルスルフェン酸から催涙成分LF(lachrymatory factor)であるpropanethial S‐oxide(プロパンチオール-S-オキシド)が生成される。

 

・ハウス食品さんが開発した酵素アリイナーゼの含有量が極めて少ない玉ねぎにおいて、玉ねぎの催涙性・辛みが感じられないことが実証された。

・プロぺニルスルフェン酸は不安定なため、催涙成分LFが生成されない場合は、風味成分・ 生理活性成分であるチオスルフィネート(アリシンなど、R-S(O)-S-R’構造を持つ有機化合物の総称)が生成される。

 

※PRENCSOを始めとする一連の画像および各情報はハウス食品さんのNews Releaseより抜粋。
その①:
https://housefoods.jp/company/news/dbpdf/582478291567cc.pdf
その②:
https://housefoods-group.com/newsrelease/pdf/namida.pdf

 

 

1.~4.の有機硫黄化合物についてまとめますと、以下の通りとなります。

◆玉ねぎには【PRENCSO】とそれを分解する酵素【アリイナーゼ】が含まれており、玉ねぎを傷付けることで反応が起こる。

◆玉ねぎに含まれるもう一つの酵素【LFS】により、玉ねぎ特有の催涙・辛み成分である【プロパンチオール-S-オキシド】が生成される。

◆玉ねぎの風味や健康効果は、【PRENCSO】【プロパンチオール-S-オキシド】または、催涙・辛み成分に変換されずに生成された【チオスルフィネート】が合わさった形で現れていると思われる。

 

 

含まれている物質が整理できたのは良かったのですが、これらの物質を単独で抽出して健康効果を検証することはあまりされていないように思われました。

 

従いまして、

「玉ねぎを食べることで得られる健康効果」として、書籍やインターネットサイトに掲載されている情報を信じるしかなさそうです…

 

※過去にコーヒーに関する栄養について調べようと思って本を読んだ際も、同様の結論となりましたので、健康効果についてはまだまだ多くの研究が必要ですね。

【読書記録】コーヒーの科学「おいしさ」はどこで生まれるのか

 

 

上記に記載の各物質ごとの効果は、ニンニクの成分と話がごっちゃになっておりますので、かめなりに推測した結果を以下にまとめます。

 

<玉ねぎに含まれる有機硫黄化合物についてのかめの推測>

1.頭痛をもたらす原因となっているのは、口から摂取した【プロパンチオール-S-オキシド】ではないか

→生の玉ねぎを食べた時に一部の人に現れる頭痛は、速攻性がありますので、分子量が最も小さいプロパンチオール-S-オキシドが何らかの経路により脳まで到達したと推測します。

→ニンニクやニラを食べすぎても現れず、食べることによって症状が出るため、玉ねぎ特有の酵素LFSによって生成された当成分が、水に溶けた状態で口から摂取されることで頭痛を引き起こしていると考えました。

→脳を始めとする血流に影響を与えている可能性がありますので、ほどほどの摂取が体に良いかもしれません。

 

 

2.健康効果は主に【PRENCSO】ではなく【チオスルフィネート】によるのではないか

→チオスルフィネートの一種であるアリシンと、アリシンが分解されることによって生成される二硫化アリルの様々な健康効果は、上記に示したように簡単にインターネットで確認することができます。

→一方で、PRENCSOは体内で有効に機能する構造に分解するに酵素の働きかけが必要なイメージですので、主に玉ねぎ特有の風味に影響を与える成分として推測しました。

→生の玉ねぎを可能な限り傷付けた上で、PRENCSOの分解反応を進めた方が健康効果が期待できるかもしれません。

 

 

ニンニクにはない玉ねぎの催涙・辛み成分、プロパンチオール-S-オキシドが、体にいい効果をもたらしてくれることを信じて、かめは生玉ねぎを水に浸すことなくいただきたいと思います(笑)

 

特筆すべき含有成分「ケルセチン」

辛み成分の話が長くなりましたが、玉ねぎを象徴するもう一つの有効成分として、

【ケルセチン】

が挙げられます。

 

◆ケルセチンの特徴

・フラボノイドに分類される黄色いポリフェノール。

 

・抗酸化作用、抗炎症作用、抗動脈硬化作用、脳血管疾患の予防、抗腫瘍効果、降圧作用、強い血管弛緩作用。

・特に強い抗酸化作用があり、活性酸素を減少させる。

※画像および各情報はWikipedia「ケルセチン」より抜粋。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%82%BB%E3%83%81%E3%83%B3

 

 

玉ねぎに抗酸化作用があるとは…

先ほどまでいろいろ考察した辛み成分よりも、かなり気になるじゃないですか!(笑)

 

 

ネットでの簡単な調査により、含有量・吸収率に関する以下の特徴も分かりました。

・皮の色が濃い茶褐色の玉ねぎに多く含まれる。

・実よりも茶色に変色した皮側に特に多く含まれる。皮に近いところの方が含有量が多い。

・玉ねぎが太陽光のストレスから身を守るために作り出した成分のため、日光に当たった玉ねぎの方が多く含まれる。

・天日干しした玉ねぎでもケルセチンの量は増加する。

・熱に強く水にも溶けるので、スープにしていただいてもOK。

・油と一緒に摂取することで吸収率がアップする。

※参考にしたサイトには含有量の数値などの記載がありましたが、引用元が分からなかったため、当記事では一般的な情報のみを羅列し引用元は特に記載しません。

 

どおりで、玉ねぎをネットに入れてベランダに干されているご家庭があった訳ですね!

 

 

早速、かめも天日干し玉ねぎを食卓に取り入れるべく、ダイソーで野菜ネットを購入しました!

 

 

身近にある食材にひと手間加えることで、健康効果を高めていきましょう!