【読書記録】Emma(エマ)

Jane Austenの六大長編小説の一つ「Emma(エマ)」です。
Austenの著作はハッピーエンドが定番ですが、本作品は殊更にハッピーエンドで、後味は爽快!そして登場人物も温かく、愉快!おすすめです!

あらすじ

主人公Emmaは、幼い頃に亡くなった母親に代わりに家庭教師Miss.Taylorによって教育された。やがて成長したEmmaはMiss.Taylorに、隣町に住む寡夫Mr.Westonを紹介し、Weston夫人となるのに一役買って出ることにし、それは成功を収めた。

~以上が物語の状況設定となり、冒頭で説明される。~

結婚仲介の成功を喜々と語り、再びそのような栄光を手にしたいと発言するEmma(20歳)に対して、knightly氏(Emmaと父の家に出入りする父の古い友人)は、そのような行動は慎むように諭す。しかし、エマの心は動じず、その標的を、父のもう一人の若い友人(20代後半)であるElton氏に定める。

【補足】knightlyはEmmaの父の友人であるとともに、Emmaの姉の夫の長兄でもあり、Emmaにとって非常に身近な存在であり、Emmaの悪いところを指摘できる唯一の他人でもある。

同時期にEmmaは知人の紹介で若干年下の少女Harrietと知り合い、親交を深める。ある日、知人であり農場主のMartinから告白されて有頂天になるHarrietに対してEmmaは結婚相手としてふさわしくない相手だと説得したうえで、HarrietにElton氏への一方的な恋心を植え付けてしまう。ところが、蓋を開けてみるとElton氏はEmmaが好きであったことが分かり、Harrietを傷つけてしまったことから、Emmaは自責の念にかられる。そして、その後一切の結婚仲介は辞め、Harrietが自ら幸せを掴むことを見守るだけにすることを誓う。

Harrietの一件で落ち込むEmmaだったが、Mr.Westonの元妻との息子Frankとの面会、という新たな楽しみも見つける。Frankは年齢的にEmmaと近いはずであり、EmmaはFrankに会う前から、結婚願望こそ無いが、信頼を置くWeston夫妻の息子であるがゆえに、どんな人だろうと想像を膨らませる。

実際会ってみるとFrankは明るく、親しみやすい性格であるうえに、Emmaに対して積極的に関わろうとしていた。それを見ていたWeston夫妻や隣人たちはFrankがEmmaのことを好きであると勘違いした。Emma以外の全員がFrankの恋を確信していたが、Emma本人はFrankが恋人として捉えていないことは勘づいていながらも、Weston夫妻の親戚関係にある同世代の友人として親友であり続けたいと願っていたため、Frankを積極性を受け入れた。

【補足】knightly氏は、Frankが無礼だとEmmaに言うが、それがEmmaと親密なFrankへの強い嫉妬心からきているのだということに、この時点でEmmaは全く気が付いていない。(物語の終盤、愛を告白されるときに気が付く。)

ある日、Weston夫妻が知人・友人を招いて開いた舞踏会が行われる。その数日後、Harrietと話したEmmaはHarrietがknightly氏の優しさに惚れ込んだことを知る。Harrietの幸せを願っていたはずのEmmaだが、knightly氏の相手としてHarrietがふさわしくないと感じ、動揺する。そして、knightlyにふさわしい相手がいるとするならば、自分自身だと確信する。

その頃、Frankが隣人の一人でEmmaと同い年のJaneと内密に婚約していたことが明らかにされる、という事件が起こる。Frankは手紙で全てを打ち明ける。そこには、秘密の恋を隠し通すために、Emmaとの親しい友人関係を盾として利用していたことが書かれていた。

事件を受けて、knightly氏は、EmmaがFrankが内密に婚約していたことに深く傷ついているのではないかと不安を募らせ、Emmaの元に駆けつけ、Emmaを慰め、抱きしめる。しかし、EmmaがFrankを恋人だと思ったことはないと断言したのを聞き、喜び、Emmaへの愛を打ち明ける。

Emmaとknightly氏の結婚にあたり、knightlyが暮らす牧師館に2人で暮らす選択肢もあったが、父のことを思い、これまでと何ら変わらない幸せを続けていくことが大切だというEmmaの考えが尊重され、knightly氏がEmmaの家に移り住むことが決まり、大団円に終わる。

【補足】Emmaの父は自他問わず優しいが、精神的にも心身的にも軟弱で、変化を恐れるタイプの人間でもあり、Emmaの結婚観や最終的な結婚の形に影響を与えた。

感想

<良かった点>
・悪役、異常に腹黒い人物が登場せず、読んでいて爽快だった。(Frank やElton氏の新妻は若干悪役的な要素が加えれている。しかし、度を越していないため、Emmaやその周囲の人々にも受け入れられているキャラクターです。)
・10代後半で結婚することが理想、もしくはあたりまえとされていた時代背景に反して、主人公は、今が良いならば結婚せずに現状の幸せを維持することが望ましいという考えていたが、最終的には、現在の幸せを維持する形で結婚するというエンディングであり、二重の意味でハッピーエンドだった。

<残念な点>
・脇役として登場する人が多すぎ、混乱しやすい点。

<学んだこと>
・今ある幸せを大切にしよう。
・他人の気持ちは読めない。