かなり古い社宅から2重窓ガラス付きのハイスペック借り上げ社宅に移り住むことになりましたので、窓ガラスに有効な紫外線対策を再検討することにしました。
当記事では、
【フィルム vs レースカーテン】
に焦点を当てて話を進めて参ります!
※日中は光を取り込んで照明を節電したいので、紫外線遮蔽効果の高いアルミテープ張りの断熱材や分厚いカーテンは、今回は検討対象外とします。
紫外線対策としてのフィルムの効果
紫外線対策用に売られているフィルムの効果は、かめの過去の記事で紹介していますのでご参照いただければ幸いです。
いろんなタイプのフィルムを窓ガラスに貼り付けてみた感想を以下に列挙します。
<メリット>
★★★:景観を損ねることなく、また場所を取らずに紫外線カットができる。
★★:ラインナップが多数あり紫外線カット効果、目隠し効果、ブルーライトカット効果などお好みに合わせて選択できる。
★:フィルムで紫外線カットを行うのであれば、カーテンやレースカーテンの選択の幅が広がる。
<デメリット>
▲:張るのがなかなか手間で、きれいにつけるにはコツがいる。
▲▲:すりガラスには貼れるが、網入りガラスや2重窓ガラスへの貼り付けをメーカーが保証していないケースが多い。
※フィルム部の光熱吸収によるガラスの熱膨張→ひび割れが想定される。
▲▲▲:フィルムに使用されている紫外線カット効果のある有機材料の成分の経年劣化が評価できていない。
▲▲▲:フィルムメーカーが掲げている紫外線カット率および対応波長帯の測定条件が明確でないため、貼り付けを想定している環境条件でどれほど有効に機能するかは、貼ってみないと分からない。
実際にかめの過去の記事では、紫外線強度を測定してフィルムの効果を確かめています。
かめが昔の社宅の窓ガラスに貼ったフィルムは、透明度と紫外線カットのバランス型でしたので、貼り付けた2月の時期の紫外線は完全カットできても、3月に少し日差しが強くなった頃には100%カットできていませんでした。
また同じ記事の中で、全く紫外線対策として考えていなかったレースカーテンが同じ条件で100%カットを達成できていることを発見し、今回比較検討することにしました。
ハイスペック借り上げ社宅の2重窓ガラスへのフィルムの貼り付けに抵抗があったのもレースカーテンを検討した理由の一つです。
紫外線対策としてのレースカーテンの効果
レースカーテンの紫外線対策商品のラインナップも、各社豊富に取り揃えられており、値段や効果、デザインなどの自由度はとても高い印象です。
デパートやニトリ、ネット等、購入方法も様々で、残業が厳しくて検討時間が取れない中で、レースカーテンに精神的になかなか追い込まれましたよ(笑)
今回は夏の日差しに耐えられるものを確実に選定したかったので、楽天サイトのカーテンショップ2社より複数のレースカーテンのサンプルを無料で取り寄せて、紫外線透過強度測定を実施しました。
※楽天お買い物マラソンの期限が迫っていたこと、ハイスペック借り上げ社宅への引っ越しが夏場に行われたこと、そして残業が激しく太陽が出ている時間に帰れなかったことが重なり、会社の研修中のお昼時間に研修所の裏通路で測定を行いました(笑)
通りがかりのおねえさんに挨拶されましたが、スーツ姿で地面にレースカーテンの破片をタロットカードのように広げていたので、相当怪しいかめさんに見えたでしょう…(^o^;)
◆測定条件
・日時:2019年8月21日12:30~ 天気:曇り時々晴れ(やや強度弱めでした…)
・紫外線強度計:SP-82UV(マザーツール製。過去の記事でも使用)
・方法:紫外線強度計を地面に置き、何も遮蔽しない時の強度とレースカーテンで遮った時の強度を測定。計算によって紫外線カット率を求める。
◆測定サンプルと測定結果
レースカーテンで紫外線カット率が高そうなものを10種類チョイスしましたので、いずれも断熱性やブラインド効果も高いラインナップとなっています。
1.異次元ミラーレースカーテン
(販売元:カーテン王国)
・カーテン王国さんの中では最も紫外線カット率が高いもの。
・使用している繊維の密度が高く生地も分厚いので、断熱性・遮光性に優れる。
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・遮蔽前測定強度750μW/cm2 → 遮蔽後0μW/cm2
⇒販売サイト掲載の紫外線カット率99.5% → 測定結果100%
2.光拡散ミラーレースカーテン
(販売元:カーテン王国)
・紫外線吸収材が練りこまれた扁平構造の繊維の採用により、部屋中に光を拡散させると同時に紫外線を一部吸収する。
・光拡散効果により外から見えにくくなっている。
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・遮蔽前測定強度770μW/cm2 → 遮蔽後50μW/cm2
⇒販売サイト掲載の紫外線カット率77.4~85.9% → 測定結果93.5%
3.ふわふわレースカーテン「ピクシー」
(販売元:カーテン王国)
・扁平構造の繊維と特殊な加工の組み合わせにより、薄さ・しなやかさと紫外線カットが両立されている。
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・遮蔽前測定強度800μW/cm2 → 遮蔽後61μW/cm2
⇒販売サイト掲載の紫外線カット率90% → 測定結果92.3%
4.ミラーレースカーテン「ロフティーズ」
(販売元:カーテン王国)
・繊維は異次元ミラーレースカーテンと同じだが編み方が異なる。
・紫外線カット率は少し低下しているが、サイズのラインナップが豊富でお値段もリーズナブル。
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・遮蔽前測定強度765μW/cm2 → 遮蔽後67μW/cm2
⇒販売サイト掲載の紫外線カット率94.5% → 測定結果91.2%
5.お買い得ミラーレースカーテン
(販売元:カーテン王国)
・低価格化と紫外線カット・断熱性能を両立させたもの。編み柄が選べる。
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・遮蔽前測定強度765μW/cm2 → 遮蔽後67μW/cm2
⇒販売サイト掲載の紫外線カット率94.9% → 測定結果90.9%
6.1枚2役レースカーテン「困ったときはこれ一枚」
(販売元:カーテンメーカーくれない)
・カーテンメーカーくれないさんの中では最も紫外線カット率が高いもの。
・高密度に編まれたレース生地と遮像効果のあるボイル生地を2枚組み合わせた特殊カーテン。
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・遮蔽前測定強度782μW/cm2 → 遮蔽後0μW/cm2
⇒販売サイト掲載の紫外線カット率99.3% → 測定結果100%
7.高断熱レースカーテン「K-wave-L-total high」
(販売元:カーテンメーカーくれない)
・特殊な糸と独自の製法により、優れた断熱性・紫外線カット・目隠し効果・防炎性能を合わせ持つ。
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・遮蔽前測定強度760μW/cm2 → 遮蔽後25μW/cm2
⇒販売サイト掲載の紫外線カット率97.3% → 測定結果96.7%
8.7色レースカーテン「K-wave-L-7colors」
(販売元:カーテンメーカーくれない)
・独自の製法により、優れた断熱性・紫外線カット性能・目隠し効果・防炎性能を合わせ持つ。
・カラーバリエーションが豊富。
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・遮蔽前測定強度770μW/cm2 → 遮蔽後51μW/cm2
⇒販売サイト掲載の紫外線カット率92.1% → 測定結果93.3%
9.冬温夏涼+S
(販売元:カーテンメーカーくれない)
・複数の繊維を組み合わせることで、断熱性・紫外線カット性能・目隠し効果を実現。
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・遮蔽前測定強度786μW/cm2 → 遮蔽後93μW/cm2
⇒販売サイト掲載の紫外線カット率92.1% → 測定結果88.1%
10.光拡散レースカーテン「K-wave-L-akalook」
(販売元:カーテンメーカーくれない)
・紫外線吸収材が練りこまれた扁平構造の繊維の採用により、部屋中に光を拡散させると同時に紫外線を一部吸収する。
・紫外線カット性能・目隠し効果・防炎性能も合わせ持つ。
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・遮蔽前測定強度770μW/cm2 → 遮蔽後115μW/cm2
⇒販売サイト掲載の紫外線カット率86.6% → 測定結果85%
◆測定結果の考察
✔ レースカーテンの紫外線カット率
2つのカーテンショップの10種類のレースカーテンを試してみましたが、販売サイト掲載の紫外線カット率はなかなか信頼できるように思えました。
数値にばらつきが出ているのは、以下の点が考えられます。
・カーテンの柄のどこを測るかによって数値が変する可能性がある
・扁平構造の繊維を使っている生地は、光が拡散されることで測定器に計測されにくくなっている可能性がある
・曇り空で強度が安定していなかった
✔ フィルムとレースカーテンの紫外線カットの原理の違い
フィルムのデメリットとして挙げました、測定条件の違いによる紫外線カット率のブレが今回の測定においては見られなかったことは、繊維による紫外線対策はある程度の紫外線強度幅の中で、カット率が安定していることが想定されます。
今回試験した全てのレースカーテンは、100%ポリエステル(≒高分子化学物の総称)で作られていますが、主に繊維に使われている材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられます。
PETを原料とするペットボトルとレースカーテンを比べると、ペットボトルの方が厚いですが、レースカーテンの方が光を遮っているように見えます。
これは、PETという高分子材料が繊維状に細く引き伸ばされていることで、光(電磁波)に対して特異的な性質を持つようになることが挙げられます。
また、繊維の太さ方向と長さ方向でその性質は異なることが予想されることから、レースカーテンの紫外線カット効果は、繊維の編み方によってその効果が高められていることが考えられます。
さらには、電磁解析シミュレーションソフト等を活用して、紫外線や赤外線の波長帯の光のみを選択的にカットしつつ、可視光線は透過させるような繊維の形状・太さ、生地の加工技術なども研究されていると、かめは想像しております。
カーテンメーカーの企業努力によって高機能材料が生み出されていることを知り、かめは感動しました!
おそらくレースカーテンでブロックできなかった紫外線は、繊維の隙間や反射・散乱・吸収効果の低い部分をすり抜けてきていると思われます。
また、レースカーテンを目を凝らして見てみますと、どんなにカット率が高いものでも繊維の隙間が確認できることから、おそらく繊維の隙間が紫外線カット率を支配していることが考えられます。
このため、物理的な原理を利用して紫外線をブロックしている以上、どんなに繊維を敷き詰めても紫外線カット率は100%にはならないとかめは思います。
一方で、紫外線吸収機能を持つ有機材料が一定の厚みを持って均一にコーティングされているフィルムは、弱い強度の紫外線に対してはカット率が100%に近い値を実現できているのではないかと想像します。
サングラスやメガネのUVカットコーティングも有機材料を使用しているため、メーカーが想定している紫外線強度の範囲内であればカット率100%に近い効果が得られていると思われます。
※強度の定義は販売サイト等で明確にされていないことが多いため、安物には注意が必要です。
2つの紫外線カット材料の原理を上記の内容で考察し、期待される紫外線カット効果を以下のグラフにまとめてみました。
・フィルムは紫外線吸収有機材料の膜厚、レースカーテンは生地の編み方によって決定する密度と厚さによって、カットすることができる紫外線の最大強度が変化する。
・強度の強い紫外線を弱める目的では、フィルムはすぐに限界を迎えることが想定されるため、レースカーテンの活用が効果的。
※フィルムの厚みを増していくとレースカーテンと同等レベルまで紫外線カット効果を高めることができると思われますが、可視光線のカット率も上昇し採光面で問題が発生することが予想されますので、今回の考察では考えないこととします。
・強度の弱い紫外線の完全カットを目的とするのであれば、フィルムの活用が効果的。
まとめ
当記事では主に紫外線カット効果に着目して、フィルムとレースカーテンの比較を行いました。
紫外線カット効果については一言で優劣をつけることはできませんので、どちらを採用するかはそれ以外のメリット・デメリットも十分に考慮するのが良いと思います。
もし、完全に紫外線をカットするのであれば、かめなら、
「屋外日よけレースカーテン+屋内紫外線カットフィルム」
の組み合わせで攻めますよ!
…ただし、
・紫外線アレルギーではないので、つるさんにしみができない範囲で適度に紫外線を浴びた方が良い点
・屋外カーテンはメンテナンスが大変な点
・紫外線カットフィルムの経年劣化が評価できていない点、2重窓ガラスへの貼り付けが懸念される点
・空調機の効率を高めるためには、屋内にカーテンがあったほうが良い点
などを考慮して、アパートやマンションでの対策とするならば、かめなら、
「最も紫外線カット効果の高いレースカーテンの屋内設置のみ」
の選択が効果的で手軽そうです。
※こちらの記事で実際に導入して、成果が得られています。
もし、自由に窓の材料や構造を決めていいのであれば、かめなら、
「金属薄膜付き防音防犯複層窓ガラス(網戸なし)+オシャレなレースカーテン+通風孔」
のオーダーメイドで攻めますよ♪
※各構造物の詳細は別の機会に考察したいと思います。
金属薄膜付き防音防犯複層窓ガラスは、以下のリンク先の旭硝子さんの製品サイトで参照することができます。
銀薄膜(メーカーサイトでの呼び名:Low-E膜)の利用により紫外線透過率0%(≒紫外線カット率100%)のラインナップもあるようですので、今後のさらなる高機能化(可視光線選択透過性UPなど)が期待されますね!
★熱・光学性能値リストのPDFリンクはこちら
https://www.asahiglassplaza.net/catalogue/netsu-kougakuseinou/000d7.pdf
高機能材料を上手に活用して、健康&エコな生活を送りましょう♪
続編
RC造賃貸マンションにおいて、フィルム+レースカーテンを再び採用しています。